2019年(平成31年)税制改正による教育資金贈与の改正

2019年4月1日新しい元号が発表され、5月1日より「令和」になりました。「令和」は248番目の元号で、日本最初の元号は「大化」と言われています。日本史で645年「大化の改新」を覚えるのに「むしごろし大化の改新」と覚えたことを思い出しました。(今では語呂合わせで年号を覚えることはなくなったのでは…)

さて2019年税法改正で教育資金贈与の特例が2019年3月31日で終了するのが、2021年3月31日まで2年間延長されました。但し同時に中身の改正も行われましたので、改正点をお知らせします。

改正の概要

(1)受贈者の所得制限

教育資金の信託等をする年の前年の受贈者(もらう側)の合計所得金額1、000万円を超える場合は、非課税措置の適用を受けることができないこととする。

改正は平成31年4月1日以降に行う教育資金贈与について適用されます。

(2)教育資金の範囲の見直し

教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で支払い時点における受贈者の年齢が23歳(誕生日の翌日)以降のうち、教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務提供の対価、スポ-ツ(水泳、野球など)・文化芸術に関する活動等(ピアノ、絵画など)に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料を除外する。(教育訓練給付の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除く。)

改正は令和元年7月1日以後に支払われる教育資金について適用します。

(3)死亡前3年以内に非課税措置の適用を受けた場合の取り扱い

信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者(あげる側)が死亡した場合において、受贈者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本措置の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額(非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等の価額に対応する金額をいう。)を、当該受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。但し、その死亡日の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)

①当該受贈者が23歳未満である場合

②当該受贈者が学校等に在学している場合

③当該受贈者が教育訓練給付の支給対象となる教育訓練を受講している場合

改正は、平成31年4月1日以後の贈与者が死亡した場合について適用します。但し、同日前に信託等により取得した信託受益権等の価額は上記管理残額の信託受益権等の価額に含まれないものとします。

(4)教育資金管理契約の終了事由の見直し

受贈者が30歳に達した場合においても、上記(3)②又は③のいずれかに該当する場合には、次のいずれか早い日に教育資金管理契約が終了するものとする。

①その年において上記(3)②又は③のいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年の12月31日

②受贈者が40歳に達する日

改正は、令和31年7月1以後に受贈者が30歳に達する場合について適用します。

以上改正点をお知らせしました(4)以外は条件が厳しくなっていますので、もう一度ご確認の上ご検討ください。

村上昌洋代表社員退任パーティ!!

この度、税理士法人村上事務所の次期所長に就任しました鶴田晃宗と申します。

平成301021日(日曜日)、弊所 創業者である村上昌洋の代表社員退任パーティを開催し、日曜日にもかかわらず、沢山の顧問先様がご来臨頂き、盛大に行うことができました。ご列席いただきました皆様、誠にありがとうございました。
なお、代表社員を退任した村上は、相談役に就任することになります。

 創業から36年目で次世代へ事業承継をすることになりますが、多大なるプレッシャーとともに、それ以上のやりがいを感じております。

税理士法人村上事務所には代表社員が私を含め3名存在します。20代の岡本、30代前半の檜垣です。3名全員が20代から30代となります。フットワークの軽さ、複雑な税制に対応できる柔軟な頭など、若さゆえの持ち味が多様にあります。

 退任パーティにおいて、お祝辞を頂きました、あるお客様より、「税理士法人村上事務所」の名称を変更しないでほしいとのご要望がございました。その場で変更することはありませんと、ご説明させていただきましたが、このブログにおいても宣言いたします。

 「税理士法人村上事務所」の名称を変更することはありません。むしろ永続させることが私たちの使命であると考えています。

 創業者である村上は、お客様を第一に考えるという典型的な人物です。仕事に没頭しすぎて食事を忘れる、お客様よりご要望があれば土日祝日でのご対応など、村上の仕事に対する思い、お客様に対する思いというものは簡単に真似できるものではありません。

 名称を変更しないでほしいという中には、村上のような気持ちをいつまでも持ち続けてほしいという意味が込められていると思っております。

 形式的ではなく、実質的にも事業承継ができたと思って頂くよう日々精進していく所存です。

 今後とも税理士法人村上事務所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 税理士法人村上事務所
代表社員・所長 鶴田晃宗

 

 

人生100年時代と、認知症と、相続対策と、信託と

 

こんにちは、税理士の岡本です。
今年の猛暑はどこへやら、めっきりと涼しくなり秋の装いになりつつありますね。


皆さんはメディア等で、「人生100年時代」というような表現を目にされたことはありますでしょうか。


日本人の平均寿命は2017年で男性が81.09歳、女性が87.26歳となり、過去最高を迎えたそうです。
政府としても人生100年時代構想を掲げており、高齢者雇用の促進や幼児教育の無償化などの経済政策を打って出ています。
ただ、人生100年時代が到来すると、今までのような定年退職まで勤めて、そのあとは退職金や年金などで余生を楽しむなどといった人生モデルがガラリと変わり、長く現役として働く、再就職や副業を始める、等といったことが当たり前となっていくでしょう。



それ以外にも不安があります。
それが「認知症」です。


2015年1月の発表によると、認知症若しくはその予備軍の割合は、65歳以上の方の4人に1人と言われております。
つまり、私の父方の祖父母2人、母方の祖父母2人の計4人のうち、だれか1人は認知症になってしまうという計算です。
とても身近で、ある日突然、家族に降りかかってきます。


しかも上記の通り、日本は「人生100年時代」を迎えようとしています。
これからもっともっと日本人は長生きしますし、65歳以上の方の比率も増えていき、同様に認知症の方も増えていく可能性を十分に秘めています。
(もちろん、医療の発達などで減っていくかもしれませんが)


大切なご家族が認知症になった時に、たくさんの困ったことが起こります。
肉体的にも精神的にもご家族は大変な思いをされるケースが多いでしょう。
その中でも、意外と認知症になってから困る方が多いのが、認知症になった方の『財産凍結』です。


何も本当に凍るわけではないですが、認知症になった方は今のところ一切の契約行為等が出来ないのが実情です。
それは銀行からの預金の引き出しや自宅などの不動産の売買、老人ホームの契約、賃貸マンションの大規模修繕など多岐にわたります。
つまり、「老人ホームの入居のためにお金が必要なのに預金が引き出せない!」「もう老人ホームに入所したから実家を売却したいのに契約が出来ない!」なんてことが起こります。


実際には、銀行のキャッシュカードで少額を何回かに分けて引き出すであったり、調子が良いときに契約に行くなどで何とかしているといった方もいるでしょうが、どうしても不安はあります。
そして、その不安が今後は、例えば65歳で認知症になった場合、100歳まで生きれば35年間続くことになります。
その間、認知症になった方の財産が凍結されたままでやっていけるでしょうか?
老人ホームの費用や生活費は誰が工面するのでしょうか?


そんな心配はない!うちには財産がたくさんある!といった方も関係のない話ではありません。むしろ財産があるご家庭の方がダメージを受けるケースがあります。



それが「相続対策」です。
相続対策の一環として、財産をお持ちのおじいちゃんおばあちゃんから子供さんやお孫さんに現金を贈与する、借入を起こしてマンションを建てるなどをされている方が多いのではないでしょうか。

これが先に申した通り、認知症になると契約行為(今回は贈与契約・建築請負契約・ローン契約)が出来ず、これらの「相続対策」が出来なくなってしまい、多額の相続税が来るのを待つばかりといった状況に陥ってしまいます。恐ろしいです。




これらの状況を受けて、今注目されているのが「信託」です。


ちまたでは「家族信託」や「民事信託」と呼ばれ、信託銀行さんが取り組んでいらっしゃる「商事信託」とは異なり、家族間のみで行うことのできる信託契約を言います。

これをもってすれば、認知症になってしまう前に「私の預金と自宅は長男に任せた!私や家族の生活費や老人ホームの費用に使ってくれ!」と、信頼できる家族に託すことで認知症になった後もその家族が預かった財産についての契約行為を認知症になった方に代わってに行うことが可能になります。
つまり、「財産凍結」を未然に防ぐことが出来るのです。


これ以外にも、家族信託にはたくさんの使い道があり、例えば昔ながらの家督相続のように血筋以外に財産が流れるのを防ぎたいであったりとかも可能だったりします。
しかし、この家族信託は誰でも出来るのですが、契約作成や税務面が非常に難しく、信託法や実務を理解せずに導入すると、せっかく有効活用できそうだったのに、むしろ要らぬ税負担が増えてしまった!すごく使い勝手が悪い契約内容になっていた!などもあり得ますので注意が必要です。


これから続く、長い長い人生の旅路が有意義なものになるかどうかは、他の誰でもなく、自分次第です。
出来れば認知症にならない方が良いですが、こればっかりはわかりません。
人生100年時代に向けて、相続対策と認知症対策はお早い目に取り掛かられることをお勧めいたします。



税理士・信託活用アドバイザー
岡本孝司

 

軽減税率対策補助金について

1.概要
軽減税率対策補助金とは、軽減税率制度への対応が必要となる中小企業・小規模事業主が複数税率対応レジの導入や受発注システムの改修などを行う経費の一部を補助する制度です。
補助金には複数税率対応レジへの導入支援(A型)と受発注システムの改修等支援(B型)があります。

複数税率対応レジへの導入支援(A型)について

対象者・・・複数税率に対応して区分経理等を行う必要のある中小企業・小規模事業主(複数税率対応レジを持たないものに限る)

A-1型(レジ・導入型)
複数税率対応の機能を有するPOS機能のないレジを対象機器とし、その導入費用を補助対象とします。
A-2型(レジ・改修型)
複数税率非対応レジを対応レジに改修する場合の費用を補助対象とします。
A-3型(モバイルPOSレジシステム)
複数税率に対応した継続的なレジ機能サービスをタブレット、PC、スマートフォンを用いて利用し、レシートプリンタを含む付属機器を組み合わせてレジとして新たに導入するものを補助対象とします。
A-4型(POSレジシステム)
POSレジシステムを複数税率に対応するように改修または導入する場合の費用を補助対象とします。

補助上限・・・原則として「3分の2」

補助上限・・・1台あたり20万円まで(複数台申請する場合は1事業者当たり200万円)
※商品マスタの設定や機器設置(運搬費含む)に費用を要する場合、さらに1台あたりプラス20万円計40万円

受発注システムの改修等支援(B型)について

対象者・・・複数税率制度の導入に伴い電子的に受発注を行うシステムの改修を行う必要がある中小企業・小規模事業主

B-1型(受発注システム・指定事業者改修型)
改修・入替をシステムベンダー等に発注・実施する場合
請け負う指定事業者による代理申請
(リース利用する場合は指定リース事業者を含む3者で申請)
B-2型(受発注システム・自己導入型)
中小企業・小規模事業者等自らパッケージ製品・サービスを購入し導入する場合
(リース利用する場合は指定リース事業者との共同申請)

補助上限・・・改修・入替に関する費用の「3分の2」
補助上限・・・小売事業主等の発注システム 1,000万円
卸売事業主等の受注システム   150万円
※両方の改修・入替が必要な場合の上限は1,000万円

2.補助金の対象期間

平成28年3月29日~平成31年9月30日
上記期間中に複数税率対応レジへの導入支援及び受発注システムの導入又は改修を終え、支払が完了したものが補助の対象です。
※導入完了日(設置日)が期間内であっても購入日が平成28年3月28日以前である場合は補助期間対象外です。
※リース契約を利用する場合は、リース契約日及びリース開始日が当該期間内であることが必要です。
3.補助金交付申請受付期間
平成28年4月1日~平成31年12月16日
上記期間中に補助金申請書類の提出が必要です。
ただし、受発注システムの改修(B-1型)については、平成31年6月28日までに交付申請書を提出し、交付決定を受けた後、平成31年9月30日までに、受発注システムの改修・入れ替えを完了(支払の完了を含む)し、すべての支払いが完了した後、平成31年12月16日までに事業完了報告書を提出しなければなりません。

 

最後に

改正消費税法の施行まで残り1年となりました。軽減税率及びインボイス制度への対応も早めに準備して改正時に慌てないようにしたいですね。

 

 

地積規模の大きな宅地

平成30年1月1日以降の相続及び贈与について、広大な土地の評価方法が「広大地評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」に改正されました。
どちらの評価方法も大まかにいうと、面積が大きい広大な土地は通常の土地よりも評価を減額することが認められている、というものですが改正前後で何が変わったのでしょうか。
改正前の広大地は「土地の面積」に比例して評価額を減額する計算方法でした。
改正後は各土地の形状や面積に基づき評価する方法に見直されました。
この改正が良いのか悪いのか一概には言えません。
単純に評価の減額割合だけを見ると、改正後の評価の方が改正前に比べて最低でも22.5%以上評価額がUPすることになります。
ですが、今まで広大地評価が適用できなかった土地が改正後の評価で適用できるようになる場合もあれば、広大地評価できていた土地が改正によって適用できなくなる場合もあるのです。
また、改正前に贈与した方が評価額が低く済んで税金も安かったのに、改正後に贈与してしまうと評価額が上がって納税が増えてしまった!なんてことも。

当方人ではこうした税制改正に伴い、改正前の広大地評価を使って土地を贈与した方が税メリットが大きいと思われるお客様にはお声がけさせて頂き、改正前後で納税額がどれくらい変わるのかはもちろん、贈与することのデメリットやリスクなども併せてご説明させて頂いた上で、贈与を進めたいと思われたお客様には改正前に対応することができました。

このように当法人では税制の改正などにも迅速かつ丁寧を心がけて対応しております。
相続対策及び贈与については早めの対策が肝心です。
何から手を付けたら良いか分からないという方も、お気軽に当法人までお問い合わせ下さい。

税理士法人村上事務所 宮本