カーポートの耐用年数の短縮

店舗や事務所などの駐車場に設置されている屋根付きの「カーポート(簡易車庫)」。このカーポートを減価償却する際、耐用年数は何年になるのでしょうか。

カーポート等の減価償却資産が、利用可能な年数を耐用年数といいます。耐用年数は法令上で定められており、国税庁ホームページの耐用年数表で確認できます。

 


カーポートの耐用年数はどのくらい?

耐用年数表に「カーポート」という名称では、耐用年数は掲載されていません。
カーポートの場合、その構造等に基づき、「構築物」の「金属造のもの(前掲のものを除く。)」の「その他のもの」に該当し、45年の耐用年数を使用することになりますが、カーポートの耐用年数としては、長いのではないでしょうか。

 


耐用年数の短縮制度とは

減価償却資産の耐用年数は、標準的な資産を対象に、通常の使用条件で利用できる期間を基に定められていますが、その耐用年数で減価償却費を計算したのでは実態に合わないこともあります。


このため、資産の使用可能期間が法定耐用年数より著しく短いこと(おおむね10%以上短くなること)などの一定要件を満たせば、実際の使用可能期間に基づく年数で減価償却できる「耐用年数の短縮制度」があります。
税務署に「耐用年数の短縮の承認申請書」等を提出すれば、減価償却設備の耐用年数を短縮できますので、その分、年間の損金計上可能額が増えることになります。

 


耐用年数45年から15年に短縮

物理的にカーポートを使用できる期間は「45年」よりかなり短いことが考えられますので、耐用年数の短縮制度を利用することで、構造が近い「露天式立体駐車設備」と同じ「15年」の耐用年数に短縮が認められることもあります。


または、税務署長の確認を受け、類似の特掲されている耐用年数を採用する方式により「15年」の耐用年数を適用することも認められているようです。


耐用年数が短縮できると早期の償却が可能となります。
該当しそうな固定資産がある場合にはご検討ください。

助成金等の受領と消費税の返還

助成金等とは、一定の条件を満たすことで国や自治体から事業者へ支給される資金です。
融資とは異なり、返済の必要がないため、企業活動にはとても有益な制度です。
雇用関係の助成金や、研究開発型の補助金などがあり、条件を満たしていれば複数の助成金等を利用することも可能です。

 


助成金等には消費税分の返還が必要になることがあります

助成金等の支給額には消費税は課されませんが、その助成金等を受領して行う固定資産等の購入は「課税」取引となり、その消費税の返還が必要になることがあります。

助成金等の中には、消費税相当額を含めて支給されるものがあり、こうしたタイプの助成金等を受領した際は、消費税の確定申告後、その助成金等を支給してくれた自治体等へ消費税相当額の返還をしなければなりません。

 

例えば、
助成金110万円全額で機械を購入した場合、110万円のうち10万円は消費税に該当します。
この機械を購入する際に支払った消費税10万円は会社が税務署へ消費税を納める際に差し引いて納税となるため、実質会社としての消費税負担は生じないことになります。
対して助成金として受領した110万円については消費税が課されないため、消費税の納税を行う必要がありません。
これでは国や自治体などから、10万円分の消費税の還付を受けたことと同義になってしまいます。
よって、助成金として受領した110万円のうち、消費税分にあたる10万円を返還する必要があるのです。

 


返還する消費税の税務処理について

●仕入控除税額が確定するのが消費税の確定申告時である

●法人税の取扱いで、前期の取引に係る損失が当期に生じた場合、前期に遡っての修正は不要とされている(法基2-2-16)

上記により、仮に消費税の返還が必要な助成金等を受領した場合であっても、その助成金等を受領した事業年度での特段の処理は不要となっています。

 

先ほどの例でいうと、

①助成金等を受領した事業年度では、助成金110万円の全額を雑収入として収益計上する

②翌事業年度で消費税10万円を自治体等への返還し、雑損失として処理する

 

消費税の返還が必要な助成金等に該当するか否かは、その助成金等の交付要綱等で確認することが必要です。
また、返還時の手続について、例えば、医療法人向けの緊急包括支援交付金(医療分)の場合、返還する消費税額等を記入した報告書の提出を求める自治体もあります。

 

 

 

新型コロナウイルスの影響で、固定資産を稼働停止した際の減価償却

工場の機械や飲食店舗内の厨房設備など、事業用資産であっても、稼働休止しているものは、税務上減価償却資産には該当しないため、原則として、償却費を損金として計上することができません。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、製造ラインを停止するなどして機械の稼働を休止する場合や店舗等の閉鎖があった場合、維持補修が行われ、いつでも稼動できる状態であれば減価償却資産に該当し、償却費を損金計上することができます。

 


いつでも稼働できるような状態に保つことがポイント

休止期間中に必要な維持補修を行っており、いつでも稼動し得る状態にあるものは、例外的に減価償却資産に該当するとされています。

この取扱いは、稼働休止期間がごく短期間である資産について、強いて償却を中断させるまでもないという配慮に基づくものです。

コロナ禍において、平時のように事業として使用することができない機械等について、メンテナンス・補修がされており、生産が開始されたときにいつでも稼働できるような状態に保たれていれば、通常どおり、償却費を損金計上することができます。

 


資産に対する「必要な維持補修」とは

この取扱いの「必要な維持補修」とは、要件ではなく、事業供用に必要な判断要素という意味合いで示されています。
例えば、事業用資産のなかには、電源を入れればすぐに使える照明器具やパソコンなどのように、維持補修が不要なものありますが、このような資産は 維持補修をしなくても直ちに事業供用できる状態にあると言えることから、償却費の損金算入が認められます。
 
また、飲食店等のような店舗における事業用資産の場合、厨房設備が正常に動くようこまめに通電させる、業務用エアコンに不具合がないよう定期的に試運転する、といった行為が「必要な維持補修」に当たると言えるようです。

 

民泊の損失と内部通算

新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人が減少したこと等により、副業として民泊を行う人に損失が出た場合、その損失は雑所得内であれば内部通算ができます。

 


民泊で得る所得は原則「雑所得」

自分が住んでいる住宅を利用し、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(民泊)を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。
民泊事業は単なる部屋の貸付ではなく寝具等の貸付やクリーニング、室内清掃や観光案内などのサービス提供も含まれているため、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。

 

■国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0018005-115/0018005-115.pdf

 


雑所得とは

雑所得とは、以下の9つの所得に当てはまらないものをいいます。

利子所得 預貯金や公社債の利子
配当所得 株式配当金、投資信託の収益分配金
不動産所得 マンションやアパートの家賃収入
事業所得 農業や漁業、製造業、小売業、サービス業などの事業などから生じた所得
給与所得 会社員やアルバイトが勤め先から受け取る給与やボーナス、賃金
退職所得 退職によって勤務先から受け取る退職金
山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得
譲渡所得 土地、建物、株式、ゴルフ会員権などを譲渡することによって生ずる所得
一時所得 懸賞金、競馬などの払戻金、拾ったお金の謝礼金などの臨時収入による所得

 

具体的な雑所得の例として

●公的年金等
●非営業用貸金の利子
●副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得)

などが該当します。

 

【民泊はシェアリングエコノミー】
民泊事業は一般的にはシェアリングエコノミーの一形態であり、遊休資産の活用と考えられることから、副業の一形態と考えられています。

 

また、雑所得の特徴として
●青色申告特別控除などの各種特典が無いこと
●利益・黒字の場合には税金が課される
●損失・赤字の場合は他の所得と通算できず単に切り捨てられる

などがあります。

 


雑所得内なら内部通算が可能

雑所得は他の所得区分との損益通算はできませんが、雑所得内での内部通算は可能です。
例えば、原稿執筆による副業収入(=雑所得)があるサラリーマンなら、同様に副業として行う民泊で損失が出た場合、相殺して所得を減らすことができます。

 

なお、不動産賃貸業を営む人が、契約期間の満了等により賃貸契約が終了した不動産を利用して一時的に民泊を行った場合や、民泊のみの所得で生計を立てているなど、その事業が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合に係る所得は、それぞれ不動産所得、事業所得に当たるため、他の所得との損益通算の対象となります。

 

寄附金控除の証明書類

豪雨や震災などの自然災害に対し、個人の支払った義援金が特定寄附金に該当すれば、寄附金控除の対象となります。
支払額は確定申告時に控除できますが、必要書類は義援金の支払先によって異なるので確認が必要です。

 


特定寄附金とは

国や地方公共団体、特定公益増進法人・財務大臣の指定を受けた公益社団法人等の団体に対して行った寄付金をいいます。
すべての寄付が控除対象ではなく、一定の寄付金に限られています。

 

■国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm

 

 


義援金の支払先を確認

①災害対策本部等

被災した自治体に設置されることから国や地方公共団体に対する寄附金に該当します。

②団体等(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)

【注意点】
義援金を取りまとめる“受け皿”という位置付けの場合があり、最終的に義援金配分委員会()等へ送金されるのであれば,国や地方公共団体に対する寄附金①に該当します。

 

義援金配分委員会等とは
災害の被災者を支援するために寄せられた義援金を、被災者に公平・平等に配分するための基準や方法を審議・決定する組織で、被災自治体や義援金受付団体、報道機関などから構成されています。送金先が義援金配分委員会等であるかどうかは団体等の募金趣意書等で確認できますが、確認できなければ団体等に直接確認する必要があります。

 


確定申告時に必要な書類

①災害対策本部等

・受領証

②団体等(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)

【専用口座がある場合】

・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料(募金要綱、募金趣意書、団体等HPの写しなど)

 

【専用口座がない場合】

・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料(募金要綱、募金趣意書、団体等HPの写しなど)
・預り証

 


ふるさと納税を利用した義援金寄付

ふるさと納税を利用して、特定寄附金に該当する義援金の寄付を行うこともできます。
その場合、支払先は自治体となりますので、必要書類は①に該当します。
ふるさと納税ワンストップ特例申請を行わずに、確定申告する場合、発行された受領書を大切に保管してください。

 


寄附金控除の証明書類の一覧表

支払先 申告に必要な書類
災害対策本部等 受領書
団体等
(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)
専用口座あり ・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料
専用口座なし ・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料
・預り証
ふるさと納税
ワンストップ特例申請なし
受領書