確定申告で税金が還付になる場合

箕面の滝道はモミジの紅葉で有名で、11月の半ばから12月の初めには多くの観光客が訪れます。箕面の滝には当事務所から歩いて一時間弱で行くことができます。

給与を一か所から受けている場合で、給与所得、退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下の場合、サラリーマンは勤務先で年末調整をすることにより確定申告は不要となりますが、確定申告をすることにより税金が還付になる場合があります。

□年の中途で退職した場合
□住宅ローン控除を受ける場合(住宅を取得した初年度)
□多額の医療費等を支払った場合
□寄付金を支払った場合

  • 年の中途で退職した場合

その年に新しい職場に再就職して、その会社で年末調整をする場合は確定申告をする必要はありませんが、それ以外の場合は確定申告をすることで税金が還付されることがあります。

  • 住宅ローン控除を受ける場合

初年度は確定申告をします。

その際の添付書類は下記のとおりです。

①住民票
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書
③勤務先から交付された源泉徴収票
④土地、建物の登記事項証明書
⑤土地建物の売買契約書、請負工事契約書など

確定申告をすると税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」が送られてきます。2年目以降はそれと金融機関等から送られてきた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出して年末調整で調整します。

  • 多額の医療費等を支払った場合

医療費控除の対象となる金額は次の通りです。(最高200万円)

(支払った医療費等)―(保険金などで給付される金額)-10万円(注)

(注)その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%

上記の計算で計算された医療費控除の金額を所得控除して税金の計算をします。

生命保険契約で受け取った入院給付金、健康保険から給付になった高額医療費等などはその目的となった医療費等から差引きます。(保険給付金等のほうが多い場合は他の医療費等から差引きません)なお、差額ベット代は医療費に入らない場合がありますのでご注意ください。

  • 寄付金を支払った場合

寄附金控除の控除額の計算は次の通りです。

次のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額

〇その年に支払った特定寄附金の額の合計額

〇その年の総所得金額の40%相当額

昨年はふるさと納税で確定申告した方が多かったのではないでしょうか。

平成27年4月1日以降にふるさと納税先が5団体以下でその団体から送られてきた申請書を返送する手続き(ワンストップ納税)をした人は確定申告は不要ですがそれ以外の人は確定申告をしないと住民税を減らすことはできません。

以上の場合は確定申告をしてもしなくてもいいのですが、確定申告をすることで税金が還付になったり、住民税が少なくなったりします。また、源泉徴収票にある源泉徴収税額の金額が0の人は確定申告しても還付になる税金がありませんのでご注意ください。

還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

なお、サラリーマンでも2か所から給与を受けている場合、給与以外の所得がある場合、満期の保険金を受け取った場合、不動産等の譲渡所得がある場合など確定申告しなければならない場合があります。

 

税理士法人村上事務所
小松千代美

相続放棄の連鎖、生命保険と相続税

11月下旬から急に寒くなりましたね。周りでも体調を崩す人が増えているような気がします。

さて先日、私どものお客様から次のようなご相談を受けました。前提として、

・ご本人は自営業だが多額の債務があり、全額を償還するのは事実上不可能。

・個人資産は無いが、推定相続人たる「子」が受取人となっている生命保険契約がある。

・私の妻は既に亡くなっており、推定相続人は「子」一人だけです。

・・という状況です

 

「自分が死んだら、子が債務を引き受けることとなるが、子が相続放棄をしたらどうなるのか?生命保険金は債権者に取られるのか?」

・・という内容でした。

ご存知の方もおられると思いますが、

・生命保険金は、「相続税法」上は一定額を超える金額について相続税の課税対象となる。

・しかし「民法」上の相続財産には該当しないため、生命保険金の受取人が相続放棄をしたとしても、保険金を受領することができる。そして故人の債務を負担する必要はない。

よって、上記の相談に対してはまず、

「子が相続放棄しても生命保険金は受け取れるし、そのお金を(本人の債権者に)取られる事もありませんよ。」

「でも、債務を控除できず、生命保険金の非課税規定(@500万)も使えないので、生命保険金が相続税の基礎控除を超えるならば、相続税の負担は生じますね。」

・・・が、とりあえずの回答となります。

ところがこれで問題は終わりません。民法では「相続人の順位」が定められており、この相談者の状況で「第一順位である子」が相続放棄をすると、「第二順位の相続人である直系尊属の内、故人に一番近い人:即ち」が相続人となります。

つまり相談者の債務を親が相続することになってしまいます。

もしも親に十分な資産があったとしたら、債務を承継しても資金的には困らないかもしれません。ですが将来、その親の財産を相続する相続人(兄弟姉妹や相談者の子)からすると、相続する財産が減少する結果となります。

これはこれで困ります。

ですので今回の場合、親も相続放棄をするべきでしょう。

そして本件で親が相続放棄をすると、次の相続人は祖父母となります。

祖父母が既に没している場合、「第三順位たる兄弟姉妹」が相続人となります。

債務を承継する理由は当然無いので、兄弟姉妹も相続放棄をします。(兄弟姉妹が既に没している場合、その子供(=甥姪)が相続人となるので、甥姪も相続放棄します。)

ところで相続放棄の手続きは、原則として、

「<自己のために相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に、>家庭裁判所に申述書を提出」・・・する必要があるのですが、本件では、

・子は、相談者の死亡を知った時から3ヶ月以内に、

・親は、子が相続放棄をした時から3ヶ月以内に、

・兄弟姉妹(及び甥姪)は、親が相続放棄をした時から3ヶ月以内に、

・・・それぞれ行うこととなりますのでご留意下さい。

 

**この様に相続放棄の検討は、「相続放棄が連鎖してゆく」事を念頭に置く必要がありますので慎重に行いましょう。

 

**今回のお話は、本来私ども税理士事務所が積極的に関与する案件ではないかもしれません。(手続は弁護士さんなどにお願いする事になるので)

ですがお客様が実際にこういった相談をまず持ち掛けるのは、私どもに対してです。

その場面で「ウチは税理士事務所なので税金しか分かりませ~ん」という事になってしまわない様に、「日々これ勉強なり」ですね。

今回は概略を説明できてホッとしました。

※気が付けばいつの間にか師走ですね.年内はあと2回更新予定です。ではまた。

文:税理士法人村上事務所 片山洋

住宅借入金特別控除は確定申告で適用を受けないと大変なことに!

今回は、住宅借入金特別控除の適用要件を満たす方が確定申告において住宅借入金特別控除の適用を受けることを失念した場合、どうなるかと言うことを書いてみます。

通常、更正の請求は、本来の確定申告期限から5年間(平成23年12月1日以前に法定申告期限が到来する国税については1年間)認められる制度ですが、住宅借入金特別控除については、確定申告において適用を受けなかった場合や、確定申告で適用を受けた金額を超えるような、請求を行うことはできません。ただし、税務署長に更正の嘆願書を出すことで認められるケースはありますが、法的な裏付けはなく、特段の事情がない限り請求は認められないものと考えられます。

一方で、給与所得者等で普段確定申告を行わない方は、期限後申告であっても、還付申告書については5年間さかのぼって行うことができますので、住宅借入金特別控除の適用を受ける旨を記載した上で確定申告を行ってください。

気がつけば今年も残りわずかとなってきました。今年住宅をローンで買って新居に住まれた方で住宅借入金特別控除の適用を受けることができる方は下記に必要書類を書いておきますので早目に準備して来年3月15日までに忘れないで申告しましょう。

申告書は国税庁のホームページよりダウンロード出来ます。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/02.htm

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

 

必要な書類など サラリーマンの方は源泉徴収票 新しい家屋に居住後の住民票の写し 金融機関等からの年末残高証明書 家屋の売買契約書または請負契約書の写し 敷地の売買契約書の写し 家屋の登記事項証明書 敷地の登記事項証明書
家屋を新築した場合
土地付家屋(マンション、建売など)を購入した場合
土地を購入した後、建物を新築した場合
中古住宅を購入した場合

 

税理士法人村上事務所

石橋 武

贈与の種類について

贈与の方法について、通常の贈与(暦年贈与と呼ばれる)とは別に、相続時精算課税制度というものがあります。

通常の贈与は、1年(1月1日から12月31日)の間に贈与された財産の相続税評価額から110万円を差し引いた金額により、税金を計算します。

贈与税の控除額が110万円まで、というのはご存じの方も多いのではないでしょうか。(基礎控除額といいます。)

では、相続時精算課税制度による贈与は、暦年贈与と何が違うのでしょうか?

1.相続時精算課税制度は、贈与をする方(贈与者)と贈与を受ける方(受贈者)が限られます。
贈与者は60歳以上である親に限られ、受贈者は20歳以上で、かつ、贈与者の推定相続人である必要があります。(年齢はその年の1月1日現在の年齢です。)
但し、平成27年1月1日以後の贈与から、推定相続人でない20歳以上の孫も認められることとなりました

2.控除額は2,500万円となります(特別控除額といいます)。注意しなければいけないのが、暦年贈与と違い毎年2,500万円の控除額があるわけではなく、その贈与者から受ける贈与について全体を通して2,500万円という点です。

3.相続時精算課税制度は、税率が一律20%となります。暦年贈与の場合には、課税される金額に応じて税率が変動します。

4.贈与者が死亡したときの、贈与された財産の取り扱いが異なります。
暦年贈与であれば、相続開始前の3年以内に、相続または遺贈により財産を取得した人がその贈与者から贈与を受けた財産のみが、相続税の課税される財産に加算されます。
相続時精算課税制度は、その適用を受けた全ての財産について、相続または遺贈により財産を取得しなかった人でも贈与された財産を相続または遺贈により財産を取得したとみなして、贈与時の価額を相続税の課税される財産に加算します。

制度の名前の通り、相続時において、贈与を受けた財産にかかる税金を精算します。

この適用を受けるには、必要な書類を贈与税の申告書の提出期間内に提出する必要があり、また、度適用すると撤回ができません。

最後に、相続時精算課税制度は、2,500万円という大きな控除額が目を引きますが、その制度の適用には慎重な判断が必要となります。

最後に簡単ですが、相続時精算課税制度のメリット・デメリットの具体例を下記に掲げます。

相続時精算課税制度の対象財産については、贈与時の評価額で、相続税の課税価格に算入されます。したがって、対象財産の贈与時の評価額が相続時の評価額を上回ってしまえば結果的に損をする場合があります。

例)
贈与時の評価額>相続時の評価額の場合(株式や土地など)
贈与時の財産の評価額 5,000万円
相続時の財産の評価額 3,000万円

相続時に財産を受け取っていれば、評価額が3,000万円で済んだものが、相続時精算課税制度を選択したために、5,000万円の評価額で相続税の計算をすることとなります。逆を言えば、贈与時の評価額が相続時の評価額を下回っていれば有利となる場合があります。

しかし、将来の株価や土地の評価額がどうなるかは、予想をつけることが難しいです。

また、対象財産の贈与時の評価額が相続時の評価額を上回る場合であっても、受贈者は、その贈与を受けた不動産等から収益を受け取ることが可能であり、その金額を加味すれば、この制度による贈与をした方が有利な場合があります。

いずれにしても、一度適用すると撤回できない(暦年課税に戻せない)相続時精算課税制度の適用には慎重を要します。表面的な金額のみで判断する事は危険です。

平成27年において相続税の税法が大きく変わり、相続税対策に贈与をする方が増えてきています。贈与税申告や財産評価など、是非当事務所にご相談ください。

参考 国税庁 タックスアンサー No.4103 相続時精算課税の選択

税理士法人村上事務所
安居孝良