インボイス登録日と設備投資のタイミング

消費税の還付は、課税事業者だけが受けられます。
そのため、これまで免税事業者だった人が高額な設備投資をして消費税の還付を受けたい場合は、原則として、その課税期間が始まる前に「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になる必要があります。
ただし、インボイス制度の開始に伴う特例として、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間にインボイス登録を行う場合は、「課税事業者選択届出書」を提出しなくても、登録希望日から自動的に課税事業者になることができます。
この場合、登録希望日は申請書を提出した日から15日以降の日を指定します。
実際の登録手続きがその日より後に完了したとしても、税務上は登録希望日に登録されたものとして扱われます。

 


課税事業者と消費税還付

消費税還付は、売上時に預かった消費税よりも、仕入れや経費で支払った消費税の方が多い場合に、その差額を税務署から受け取ることができる仕組みです。


■「原則課税」の適用が必須
消費税の計算方法には「原則課税」と「簡易課税」の2種類があります。還付を受けるためには必ず原則課税を選択していなければなりません。簡易課税が適用されていると多額の設備投資をしても還付は受けられません。


■インボイス制度と還付のタイミング
・課税事業者(インボイス登録前も課税事業者だった場合)
→設備投資を行う課税期間において、原則課税であれば還付を受けられます。

・免税事業者からインボイス登録した場合
→インボイス発行事業者に登録して課税事業者になった場合、登録希望日から課税事業者として扱われます。このため、その期間内に該当する設備投資を行えば、要件を満たすことで消費税の還付が可能です。

 


設備投資のタイミングに要注意

インボイス登録を利用して課税事業者になり、設備投資にかかった消費税の還付を受けようと考えている場合は、設備を購入した日がいつなのかが重要です。

たとえインボイス登録の申請書を提出した後であっても、登録希望日より前に設備を購入した場合、その設備にかかった消費税は還付の対象になりません。


■具体例
9月10日:インボイス登録申請書を提出
9月25日:設備を購入
10月1日:登録希望日(課税事業者になる日)

このケースでは、設備の購入日は9月25日で、課税事業者になる10月1日より前です。
そのため、申請書の提出は済んでいても、設備購入時点ではまだ免税事業者なので、設備購入にかかった消費税の還付は受けられません。
設備投資を予定している免税事業者は、「インボイス登録の申請日」ではなく、「いつ課税事業者になるのか」を確認したうえで購入時期を決めることが大切です。


■商品在庫については例外あり

一方で、商品や材料などの棚卸資産(在庫)については、免税事業者から課税事業者へ変わる際の特別な調整制度があります。
そのため、一定の要件を満たせば、課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産についても、消費税の仕入税額控除を受けることができます。

ただし、その場合は、
・在庫の内容
・数量
・取得時期
などを記載した棚卸表などの書類を保存しておく必要があります。