交際費に該当する飲食費は?

2017年も残り2週間となりました。会社にとっては忘年会シーズンですね!

忘年会といえば飲食、飲食といえば交際費…ということで今回は交際費、

特に飲食に関するものについてお話したいと思います。

 

法人にとって取引先との良好な関係を築くために必要な交際費。

ところが必要な支出であるにもかかわらず、法人税法では一定額以上の交際費は損金に算入されないこととされています。

法人税では、

「交際費とは、交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先、その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」

 

「接待飲食費とは交際費等のうち、飲食その他これらに類する行為のために支出する費用(専ら法人の役員、若しくは従業員またはこれらの親族に対するものを除く。)」

 

と定義されています。しかし実際のケースでは飲食費ひとつとっても、これは会議費?

交際費?どう区分したらいいのかわからない!ということがあるのではないでしょうか?

 

 

交際費について条文では、参加者一人当たりの支出額が5,000円以下の飲食費は

交際費から除かれ、損金の額に算入することとされています。

この5,000円判定ですが、例えば1次会・2次会…とあった場合、

その会ごとに金額/参加人数で計算することとなります。

 

ちなみに飲食費に付随して支出されるタクシー代は、接待する側として相手方に支払うものは「交際費」、接待される側で、その会場や店に行く際に支払うものは「旅費交通費」となるので注意が必要です。

 

基本的には5,000円以下の飲食費=損金ですが、例外もあります。

自社の特定の役員や従業員のみが参加する飲食のための支出は「社内飲食費」として

5,000円以下でも交際費に該当することとなります。

 

本支店間の役員・従業員のみの飲食も社内飲食費となります。

(ただし、親会社・子会社間では社内飲食費に該当せず、5,000円判定が必要となります。)

 

しかし忘年会など、自社の従業員おおむね全員が参加するような場合であれば

福利厚生費」として損金の額に算入されます。

 

会議の際に支出する飲食費については、会議に通常必要と認められる範囲内の金額であれば「会議費」、過度に高額な金額であれば「交際費」に該当することとなります。

 

 

交際費は範囲が広く、プライベートな費用などと混同しやすいため、税務調査で確認されやすい項目です。

そのため事業に関連する費用であることを証明できるように、どのような費用であるかを日頃から記録し、 ①いつ ②誰と ③何人で ④どこで といった記載事項がきちんと記入された領収書を保管しておくことが大切です。

 

 

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平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて

平成29年度の税制改正において、平成30年以降の配偶者控除及び配偶者特別控徐 の取扱いが以下の通りに変更されました。

①配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得金額が1,000万 円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされました(改正前:給与所得者の合計所得金額の制限無)。

②配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました(改正前:38万円超76万円未満)。

①については、これまでは配偶者控除の適用について納税者本人の所得制限はなかったのですが、改正により納税者本人の合計所得金額が900万円超(所得が給与のみの場合で1,120万円超)から増額するに従い、配偶者控除の控除額が逓減していき、合計所得金額が1,000万円超(所得が給与のみの場合で1,220万円超)で、配偶者控除の適用ができなくなることとなりました。

②については、これまで配偶者特別控除の適用は納税者本人の合計所得金額が1,000万円未満の場合で、配偶者の合計所得金額が38万円超(所得が給与のみの場合で103万円超)から76万円未満(所得が給与のみの場合で141万円未満)の間でのみ限られていましたが、改正により配偶者の合計所得金額が38万円超85万円未満(所得が給与のみの場合で150万円未満)であれば、改正後の配偶者控除の控除額と同額が控除されることとなり、合計所得金額が123万円(所得が給与のみの場合で201万円)まで配偶者特別控除の適用ができることとなりました。

上記①、②の改正により、給与所得者(給与等を受領する本人)が給与等の支払者(給与等を支払う会社等)に提出する「平成30年分給与等の扶養等控除等申告書」の記載内容が変更されるとともに、源泉徴収義務者である給与等の支払者が源泉徴収税額を計算する際の扶養親族等の数の計算方法が変更されることとなります。

ここで注意したいのは、これまで配偶者の合計所得金額が38万円(所得が給与のみの場合で103万円)を越えていたため給与等の支払者に対して配偶者の個人番号を提出されていなかった給与所得者が、配偶者特別控除の適用が可能となる配偶者本人の合計所得金額の枠の拡充により、配偶者が源泉控除対象配偶者*に該当すると見込まれる場合には、給与等の支払者に配偶者の個人番号を提出する必要があります。

今回の改正で個人番号を提出する必要が生じることとなる配偶者の個人番号は給与等の支払者においてまだ入手できていないものと思われるため、給与所得者は「平成30年分給与等の扶養等控除等申告書」の提出時に配偶者の個人番号を給与等の支払者に提出することを忘れないこと、給与等の支払者は給与所得者に事前にアナウンスを行い、必要な個人番号の早期入手を完了させることで円滑な給与計算を行っていただければ、と思います。

*「源泉控除対象配偶者」の用語の意味

給与所得者(合計所得金額の見積額が900万円以下の人に限る。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く。)で、合計所得金額の見積額が85万円以下の人をいいます。

「源泉控除対象配偶者」という用語の出現によりこれまで使用されていた「控除対象配偶者」の用語の意味が改正後変更されます。

「控除対象配偶者」の用語の意味

給与所得者(合計所得金額の見積額が1,000万円以下の人に限る。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く。)で、合計所得金額の見積額が38万円以下の人をいいます。

給与は我々が生活をする上でとても重要なものであるため、今回の改正により給与計算等の間違いを起こさないためにも、改正内容について不安がある方は是非税理士法人村上事務所までご相談下さい。

参考資料(国税庁のホームページより)

給与所得者向け平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて

源泉徴収義務者向け平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて(毎月(日)の源泉徴収のしかた)

平成30年分給与所得者の扶養控除等申告書の記載例

 

税理士法人村上事務所

仁田 亮

立退料を受け取った場合の所得税の取扱いは?

居住または事業に供している建物等が賃借物件である場合、賃貸人の都合により立退かなければならなくなった時に、立退きに際して賃貸人から立退料を受け取り、退去することがあります。この立退料を受領した場合、受け取った側の税務上の処理はどのような取扱いになるのでしょうか?

この場合、受け取った立退料がどのような目的で支払われているかにより、取扱いが違います。

1.賃借人の借家権が消滅することによる補償部分
この部分は、借家権の譲渡となりますので、譲渡所得として確定申告しなければなりません。

2.引越費用に充当する部分
この部分は、実際に引越費用に充当した部分は課税されませんが、受け取った金額より実際に支払った金額の方が少なかった場合には、その差額部分については一時所得として確定申告しなければなりません。

3.事業の用に供していた場合における営業補償金部分
この部分は、その事業を営んでいた個人の収入金額の減少に対する補償や、休業などにより従業員に支払う給与等の費用を負担する部分については、事業所得として申告しなければなりません。

ここで一つ注意しなければならないのが、借家権が消滅することに対する補償部分の譲渡所得については、土地建物等の譲渡による所得ではないので、分離課税ではなく、総合課税となりますのでご注意ください。

=参考=

(借家人が受ける立退料)
所得税法基本通達33-6

(一時所得の例示)
所得税法基本通達34-1

税理士法人村上事務所
谷田 哲章

 

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例(3000万控除)の創設!!!

相続にて生じた空き家の譲渡について特例ができました。

平成28年の税制改正により、相続にて取得した居住用財産が空き家になった場合、その物件の譲渡について要件を満たせば、譲渡所得の特別控除が出来るようになりました。

【概要】

相続により生じた空き家もしくは、その空き家が建っていた敷地を平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡した場合、譲渡所得より3,000万円の控除ができます。

 

 【主な適用要件】

  • 昭和56年5月31日以前に建築されていること
  • 区分所有の建物ではないこと
  • 相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいないこと
  • 相続開始の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用、居住の用に使用されていないこと
  • その譲渡が相続の開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行われていること
  • 更地にせず空き家を譲渡する場合には耐震リフォームを行うこと(耐震基準を満たしている場合はリフォーム不要)
  • 譲渡価額が一億円を超えないこと【他の特例との関連】

この特例は「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」等との選択適用となります。
また、居住用財産についての課税所得の他の特例(居住用財産の買換特例など)とは重複して適用することができます。

 

【必要書類】

この特例は確定申告書に、市区町村長の相続開始の直前において被相続人居住用家屋に被相続人が居住していたこと、かつ、被相続人居住用家屋にその被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと等一定の要件を満たす旨の確認書、売買契約書の写し等の書類の添付がある場合に適用することができます。

ご関心がありましたら一度ご相談下さい。

安居 孝良

参考資料 平成28年度 個人の方が土地・建物や株式等を譲渡した場合の税制改正のあらまし