GSS(ガバメントソリューションサービス)

国税庁は、税務調査などの仕事でオンラインツールを使う「オンライン調査」を進めています。
すでに一部の国税局では始まっており、今年4月からは全国の国税局などでも順次導入される予定です。
このオンライン調査で使われるのが、政府共通システム「GSS(ガバメントソリューションサービス)」です。
これは、各省庁の職員が共通して使えるパソコン、ネットワーク、セキュリティ環境などをまとめて提供する仕組みです。


■国税庁
税務行政におけるオンラインツールの利用について
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/onlinetool/index.htm

 


GSS(ガバメントソリューションサービス)とは

GSSは、端的に言うと「日本の中央省庁向け共通ITインフラ」 です。
昔は、各省庁がそれぞれ別々にパソコン・メール・ネットワーク・セキュリティを整備しており、様々な問題が発生していました。


・省庁ごとにシステムがバラバラ
・古い環境が残りやすい
・維持費が高い
・テレワークしにくい
・セキュリティレベルに差がある


このような問題解決のため、GSS=共通基盤化が進められ、下記のような仕事環境の改善が期待されています。

■職員が使うPCや設定を標準化
「省庁ごとに別物」ではなく、共通仕様に近づけます


■安全で高速な政府共通ネットワーク
各省庁をまたいだ連携もしやすくなります


■オンライン会議、チャット、ファイル共有など
場所やデバイスにとらわれない働き方とコミュニケーションの最大化が期待できます


■セキュリティ強化
不正アクセス防止、認証管理、監視体制などを共通化

 


GSS(ガバメントソリューションサービス)の目的

GSSが作られた目的は、大きく2つあります。

①テレワークやオンライン会議など、柔軟な働き方をしやすくする

②情報漏えいやサイバー攻撃を防ぐため、セキュリティを強化する


①コロナ禍では、役所の弱点が明白となった

コロナ禍でオンライン会議の需要が急増し、安全で高速な政府共通ネットワークの整備が急務になったことが背景にあります。
民間ではZoomやTeamsで進んだ働き方が、行政では遅れが目立ちました。
・出勤しないと仕事しにくい
・オンライン会議が弱い
・書類文化が強い
・省庁間のデータ連携が遅い


②高度なセキュリティ環境を実現する「ゼロトラストセキュリティ」

昔は、役所の中のネットワークなら安全という前提で環境構築されていましたが、ゼロトラストセキュリティは、「内部だから安全」「外部だから危険」と決めつけず、すべてのアクセスを毎回チェックする仕組みです。
例えば、
・職員がシステムに入るたびに本人確認を行う
・必要最低限の範囲だけアクセスを認める
・利用状況を継続的に監視する

これにより、不正アクセスや内部での情報拡散を防ぎやすくなります。

 


GSS(ガバメントソリューションサービス)で何が変わる?

■例えば、税務調査であれば
昔 :訪問して訪問して資料確認する、対面中心の調査
今後:オンラインで説明、資料はデータ送信する、遠隔での打合せ
など、税務行政のデジタル化が進みます。

■国民にとってのメリットも
・省庁内部の処理効率UPにより、行政手続きが速くなる可能性
・共通システムを共有することで税金の無駄削減
・セキュリティ向上で個人情報が守られる
・働き方改革により、公務員も柔軟に働ける

GSSは見えにくい地味な改革ですが、完成すると生活が少しずつ変わります。

 


GSS(ガバメントソリューションサービス)の課題

各府省庁間の垣根を超え、質の高い行政サービスの提供が実現可能なGSSですが、導入を拡大していくためには、様々な課題をクリアしていく必要があります。

■デジタル人材不足
運用できる人材の確保と育成が重要

■脱・紙文化の難しさ
押印重視・紙=安全であるという固定観念・前例主義との戦い

■大規模システム特有の遅れ
政府ITは調整相手が多く、多数の関係者間での合意形成に至るまでに時間がかかる


また、GSSが導入されたからといって、省庁同士で自由にデータ共有できるわけではありません。
実際にどの情報を共有できるかは、それぞれのルールや方針に基づいて管理されます。

在職老齢年金の基準額の引き上げ

2025年6月に成立した年金制度改革法により、2026年4月から在職老齢年金のルールが変わります。
会社などで働きながら年金を受け取る人について、年金が減らされ始める基準額が「月51万円」から「月65万円」に引き上げられます。

 


在職老齢年金制度とは

65歳以上になると、原則として次の2つの年金を受け取れるようになります。


・老齢基礎年金(国民年金)
・老齢厚生年金(厚生年金)


このうち、働いて給料をもらっている人は、「給料など+老齢厚生年金」の合計額が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部が減額される仕組みがあります。
これを在職老齢年金制度といいます。
※減額の対象になるのは老齢厚生年金だけで、老齢基礎年金は減額されません。


■2026年3月までの基準
「給料など+老齢厚生年金」の合計額が月51万円を超えると、超えた分の半分相当の老齢厚生年金が減額(支給停止)されます。

■2026年4月からの新しい基準
2026年4月からは、この基準が月65万円まで引き上げられます。
つまり、これまでより多く働いても、年金が減らされにくくなるということです。

 

【例】
給料:月46万円
老齢厚生年金:月10万円
合計:月56万円

 

 

■2026年3月まで:基準額51万円
56万円-51万円=5万円のオーバー
→オーバーした5万円の半額2万5000円分の老齢厚生年金が減額


■2026年4月から:基準額65万円
合計56万で基準額はオーバーしない
→老齢厚生年金の減額は行われず、満額の10万円を受け取れる


・税制も見直される予定
この制度変更に合わせて、2027年分の所得税から次の見直しが予定されています。
給与所得控除と公的年金等控除を合わせた金額の上限を280万円とする案です。
これは、給与と年金の両方を受け取る人の税負担を調整するための改正とされています。

 


在職老齢年金制度はなぜ作られたのか

在職老齢年金が作られた頃(高度成長期)の社会背景は以下のようなものでした。
・定年:55~60歳
・平均寿命:今より短い
・定年後は基本的に働かない


このように、1965年の導入時の社会背景として、年金は定年後に働けなくなった人の生活費、という考えでした。
よって、高い給与を得ている高齢者に満額の年金を支給することは、保険料を負担している現役世代とのバランス等から不公平であるとされ、所得に応じた調整が導入されました。
これが在職老齢年金制度です。
当時は、「働きながら年金をもらう人」は少数派だったため、そもそもこの制度は少数派の調整のための仕組みだったと言えます。

 


制度見直しの背景

ところが、近年では少子高齢化による人手不足のため、導入時とは逆に、定年後の高齢者の就労が促進されています。
しかし現行の制度のままでは、働いて収入が増えたら年金が減らされてしまうので、働ける人が働かない問題が発生しました。
それを解消し、高齢者にもっと働いてもらうため、51万円から65万円に引き上げる制度の見直しが行われたのです。
これにより、より高い給与を得ながらでも年金を満額受け取りやすくなります。

イノベーション拠点税制

令和6年度改正により、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)が創設され、2月1日より経済産業省と一般社団法人ソフトウェア協会において申請受付が開始されました。

 


イノベーション拠点税制とは

イノベーションに関する国際競争が激化する中、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、特許権・AI関連のプログラム等の知的財産からから生じる所得(ライセンス料・譲渡益)に対して、日本国内で支出した研究開発費の割合を乗じた額の30%に相当する金額を所得控除する制度です。
適用期間は、2025年4月1日から2032年3月31日までの間に開始する各事業年度です。
対象となる知的財産は、青色申告法人が、2024年4月1日以後に取得・制作した、特許権やAI関連のプログラムの著作物が対象となります。


■経済産業省
イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)について
https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/about_innovation_tax.html


ちなみに、2000年代から欧州各国で導入が開始され、最近ではインド・シンガポール・香港等のアジア諸国でも導入が検討されているようです。

 


イノベーション拠点税制のメリット

イノベーション拠点税制の本質は、日本で生み出した知財で利益を出す会社を税制で支援するというものです。

特に、AI関連技術を自社開発している会社や特許で収益を上げている会社には大きな利点があります。
以下に主なメリットを紹介します。


■法人税の負担軽減
対象となる特許やAIプログラムから得た利益の一部を、所得から差し引ける制度なため、その分、法人税が減ります。


■利益(成果)が出てから効く
研究開発は費用ベースですが、イノベーション拠点税制は利益(成果)ベースなので、成果が大きい会社ほど恩恵も大きくなります。


■知的財産の保有を戦略的に考えられる
特許やAIプログラムをどう管理するか、どこで開発するか、誰にライセンスするかなど、税務面からも戦略設計できます。


■日本に研究拠点を置くインセンティブになる
欧州では一般的である制度を、日本も同様に導入したことで、国際的な税制競争力アップが期待できます。
研究開発を日本で行うと有利なので、海外企業の日本進出の呼び水になる可能性もあります。

 


具体的にAI関連とは

「AI関連」と認められるには、官民データ活用推進基本法上の人工知能関連技術を活用したものを指します。


【例】
自社でAI技術を開発したプログラム→対象
他社のAIを使って画面だけ作った→対象外


また、AI関連であることを証明するためには、下記のように、一般社団法人ソフトウェア協会と経産省(経産大臣)の両方の確認・証明を受けることが必要となります。
この両方の証明書(コピー)を、法人税の申告時に添付します。


① 一般社団法人ソフトウェア協会の証明を取る
注意点:1件あたり5万円(税別)の審査料が必要になる予定
② その後、経済産業省の証明を取る
注意点:事業年度末日の「60日前~30日後」までにGビズFormで申請する

2割特例と「基準期間の課税売上高」の考え方

インボイス登録をしたことで消費税を納めることになった個人事業主の方は、2025年(令和7年)分の申告でも「2割特例」というお得な計算ルールを使える可能性があります。
ただし、「2年前(令和5年)の課税売上高が1,000万円以下であること」が条件です。
この判定方法に注意が必要です。

 


混在する免税事業者の期間と課税事業者の期間

個人事業主が、令和7年分の消費税で「2割特例」を使うには、基準期間である令和5年の売上(課税売上高)が1,000万円以下であることが条件です。


ここで注意したいのが、令和5年10月1日からインボイス発行事業者になった人の場合です。
この人は、令和5年の中で
・1月1日~9月30日:免税事業者だった期間
・10月1日~12月31日:課税事業者になった期間
という 2つの立場が混ざっています。


■免税期間の売上も「判定には含まれる」


免税事業者の期間中は、実際には消費税を納めません。
でも、「課税売上高がいくらあったか」を見るときは話が別です。


基準期間(令和5年)の課税売上高が1,000万円以下かどうかを判定するときは、
・免税事業者だった期間の課税売上高
・課税事業者になってからの課税売上高
この 両方を合計します。
つまり、この合計した結果が1,000万円以上になった場合、免税事業者だった期間があったとしても、と令和7年分で2割特例は適用できません。

 

【例】令和5年の課税売上高が以下のような場合

免税事業者の期間(1月~9月):700万円(税込)
課税事業者の期間(10月~12月):400万円(税抜)
この2つを合計すると、
700万円 + 400万円 = 1,100万円
となり、1,000万円を超えてしまいます。
この場合、令和7年分の消費税では2割特例は使えません。

 

 


そもそも2割特例とは

2割特例とは、インボイス制度をきっかけに、免税事業者から課税事業者になった人の負担を軽くするための制度です。

対  象  者: インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業主や法人
対象期間:令和5年10月1日~令和8年9月30日
内  容:納める消費税を「課税売上高にかかる消費税の2割」とすることができる
適用条件:基準期間の課税売上高が1,000万円以下など


■国税庁
2割特例特設ページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_2tokurei.htm


なお、2割特例は2026年(令和8年)分で終了する予定ですが、個人事業者に対し、その後2年間「3割特例(課税売上高にかかる消費税の3割を納める)」という新しいルールが設けられる方針です。

空き家特例と取壊し費用

「空き家特例(空き家に係る譲渡所得の特別控除)」は、一定の条件を満たせば、空き家やその土地を売ったときの利益から最大3,000万円まで税金の計算上差し引ける制度です。
この特例を使うための条件のひとつに、売買金額(譲渡の対価の額)が1億円以下であることがあります。


ここでいう「売買金額」は、単に契約書に書かれている金額だけではありません。
たとえば、空き家を売るときに「家の取り壊し費用を買主が負担する」という形にした場合でも、その取り壊し費用は、本来は売主が負担するものと考えられます。そのため、税金の計算では、その取り壊し費用も売買金額に含めて考えることになります。

 


空き家特例とその目的

空き家特例とは、相続によって取得した、一定の要件を満たす空き家を売却した際、利益から最大3,000万円を控除できる制度です。
特例を受けるためには、いくつかの厳しい要件がありますが、適用されれば大きな節税効果を得られます。


また、相続によって発生した空き家の売却を促すことで、全国で増加する空き家問題の解消と、それに伴う地域環境の保全を図ることも期待されています。


■空き家問題とは?
・経済成長によって建てられた家が、少子高齢化のために住む人がいなくなり次々と空き家となっている
・放置された空き家は、火災や倒壊の危険や、景観の悪化、公衆衛生上の問題などを引き起こし、周辺地域の不動産価値の低下を招いている


こうした問題の解決策のひとつとして、空き家特例が創設されました。

 


売買金額には買主による取り壊し費用も含まれるようになった

空き家特例は、相続などで取得した、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅やその土地を、令和9年12月31日までに売却した場合などに使えます。
土地だけを売る場合は、原則として売主が家を取り壊してから売る必要がありましたが、令和6年1月1日以降は制度が変わり、買主が家を取り壊すケースでも特例の対象になりました。


ただし、この制度改正があっても、「売買金額に何を含めるか」という考え方自体は変わっていません。
つまり、買主が負担した取り壊し費用であっても、売買金額に含めて1億円以下かどうかを判断する必要があります。


なお、空き家特例を使って確定申告をする場合は、
・売買金額(取り壊し費用を含めて1億円以下であること)
がわかる資料として、売買契約書のコピーなどを申告書に添付して提出します。