ジュニアNISAの非課税期間が終了したら?

令和5年度の改正で、少額投資非課税制度(NISA制度)は、制度の恒久化、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠・非課税保有限度額の拡大などの見直しが行われ、令和6年から新しいNISAとしてスタートします。
現行のNISA口座(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)では、いずれも令和5年末に買い付け終了となりますが、令和6年以後の非課税保有期間が終了するまでは、現行のNISA口座のまま保有でき、新制度の外枠で非課税措置が継続適用されます。

 


令和5年度末で終了するジュニアNISAの非課税手続きが不要になりました

ジュニアNISAの買い付けが出来るのは令和5年12月31日までで、令和5年度末で制度終了となりますが、令和6年以後の非課税保有期間が終了するまでは現行のNISA口座のまま保有することが出来ます。
これまでジュニアNISAは、非課税保有期間の終了後に所定の手続を行うことで、18歳になるまで非課税措置が適用されました。
しかし、今後はその手続きが不要となり、非課税保有期間が終了するタイミングで、自動的に継続管理勘定に移管
されます。

 


ジュニアNISAの5年間の非課税期間が終了するとどうなるか?

例えば、子供が年内に7歳になる令和5年に上場株式等を買い付けたとすると、下記の図のようになります。
 

ジュニアNISAの非課税期間終了したらどうなるか?

 

ジュニアNISAは令和5年12月31日で終了しますが、それまでに購入した上場株式等の非課税保有期間は最長5年間です。

非課税保有期間は、買い付けた年を起点に5年後の令和9年(同年中に11歳)に終了します。
すると、継続管理勘定へ自動的に移管され、18歳になる令和16年まで非課税措置が適用されます。

日本証券業協会の「2023年までのNISA」では、ジュニアNISAに関するよくある質問がまとめられています。

■ジュニアNISAのキホン
Q8 非課税保有期間5年間が終わるとどうなりますか?
https://www.jsda.or.jp/nisa/before2023/junior/faq/

インボイス発行事業者の登録後、公表事項に変更があったときの手続き

インボイス発行事業者が法令で定められている公表事項(住所や名称、法人の本店所在地など)を変更する場合は、原則として「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出する必要があります。

 


法人は「異動届出書」を提出すれば変更届出書の提出を省略できます

法人については、変更内容が、名称や本店又は主たる事務所の所在地の場合であれば、異動届出書の「消費税」欄にチェックを入れて提出することで、変更届出書の提出は不要となります。
異動届出書が提出された後、情報がインボイス登録センターに共有され、国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトの公表事項に反映されます。

 


個人事業者等の公表事項の変更手続きについて

個人事業者の変更は法人とは異なります。
個人事業者の公表事項には、公表を希望していない限り、主たる屋号や主たる事務所の所在地は含まれていません。
よって、屋号や主たる事務所の所在地の追加公表している場合のみ変更手続きが必要となります。

 

【関連記事】インボイス事業者公表サイトでの個人事業者の公表事項について

 

公表している情報に変更等があったとき、又は非公開にするときには、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」の提出が必要です。
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書ではありませんので注意が必要です。

 

なお、個人事業者の異動届出書等は2022年で廃止されました。
2023年1月1日以降の納税地の変更及び異動については税務署への届け出不要となっており、異動後に初めて提出する確定申告書に異動後の情報を記載すれば良くなりました。

社内副業の源泉徴収について

働き方改革の一環で副業解禁が進む中、正式な所属先に籍を置いた状態で、所属部署以外の業務に携わる「社内副業」を導入している企業もあるのではないでしょうか。
社内副業を行った従業員に対して報酬を支払う場合、それが「事業所得」となるか、源泉徴収の必要がある「給与所得」となるかは、実態に基づいた判断が必要となってきます。

 


給与所得か事業所得なのか、判断基準となる判例

社内副業を導入する際に、本業(雇用契約)の所定労働時間とは別に、所属部署以外で業務を行えるよう、従業員と企業側で、社内副業についての業務委託契約を締結することがあります。
しかし、業務委託というその契約の名称から、社内副業は源泉徴収の必要のない「事業所得」であると即座に決定することはできません。
判断によく使われる判例は、昭和56年4月24日の最高裁での判決です。

 

 

事業所得とは「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」であるのに対し、給与所得は「雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付」とされる。

 

 


給与所得か事業所得なのか、判断基準となる判例

上記の判決内容をわかり易くするために、営業部で働く従業員Aが業務委託契約を締結し、設計部で社内副業を行うケースで考えてみます。

 

■給与所得となる場合
副業先である設計部での業務について、企業側から従業員Aに対し、指揮命令や用具供与があるなど、設計部の他従業員と同じ状態で業務を行っている場合は給与所得となり、源泉徴収が必要です。

 

■事業所得となる場合
企業側からは、従業員Aに対しての指揮命令や用具供与などは行われず、従業員Aが成果物を納品した場合等は事業所得となります。
なお、従業員Aが、給与等を営業部のみから受給しており、設計部での社内副業の事業所得が20万円を超える場合、確定申告が必要となります。

 


社内副業のメリット・デメリット

通常は自身の所属する部署での業務が基本ですが、社内副業では他の部署での仕事に携わることができるので、経験の蓄積、スキルや知識の幅を広げることが可能となります。
企業側にとっても、人手不足や離職率低下の解消に役立つ面もあるでしょう。

 

一方、社内副業の課題として、従業員は本来の業務に加えて別の業務に取り組むため、スケジュール調整やマネジメントの複雑化などの負担増加が考えられます。

 

一部の大手企業で広がりつつある社内副業制度ですが、制度設計を工夫すれば企業規模を問わずに効果的に行える場合もあります。
その際は、源泉徴収の有無、業務量の調整、指揮命令系統の明確化などが留意点として挙げられます。

源泉徴収票の電子交付とみなし承諾

令和5年度税制改正により、「給与所得の源泉徴収票」と「給与等の支払明細書」について、電子交付する際に必要な承諾手続が簡略化されました。
改正前は、源泉徴収票等を電子交付するには、受給者である従業員等にあらかじめ電子交付方法の種類と内容を示し、電磁的方法又は書面による承諾を得ることが必要でした。
改正後は、「給与支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」という通知を、あらかじめ受給者に行い、上記期限までに受給者から回答がなかった場合には、承諾を得たものとみなされます。(みなし承諾)

 


受給者への通知の具体的な方法

通知方法は、法令上特に規定はないものの、電子メールの送信、書面の交付などの手段で、受給者へ「確実な通知」を行う必要がありあす。
「確実な通知」を行う注意点として、給与支払者が社内情報共有ツール等を利用して、対象の全従業員向けに発信した際に、一部の従業員等が閲覧できないことが起こらないように、あらかじめ閲覧権限の設定等の確認が必要です。


また、通知に対する承諾の回答期限についても特に定めはないので、受給者の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期間を十分に見積もって設定しましょう。

 


従来通り、電子交付に承諾を得る必要がある事項

みなし承諾の対象となるのは「給与所得の源泉徴収票」と「給与等の支払明細書」のみとなり、それ以外の下記の事項については、従来通り従業員等から電磁的方法又は書面で承諾を得ることが必要です。
 

・退職所得の源泉徴収票、退職手当等の支払明細書
・公的年金等の源泉徴収票、公的年金等の支払明細書
・オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書
・配当等とみなす金額に関する支払調書
・上場株式配当等の支払通知書
・特定口座年間取引報告書
・特定割引債の償還金の支払通知書
・未成年者口座年間取引報告書

 


電子交付の方法と要件

電子交付には、次の方法があります。


①電子メールで直接送付する
②源泉徴収票等のデータをネット上にアップロードし、社内ネットワークやインターネットにより受給者がアクセスして閲覧する
③CD等の媒体に記録して交付する


なお、電子交付の際には、下記の要件を満たす必要があります。
・受給者等ごとに作成されたファイルに記録されている記載事項について、パソコン等で表示や書面への出力ができること
・①および②の場合、電子交付したことを通知すること


源泉徴収票等を電子交付する場合、データを改変できないような措置は求められてはいませんが、真実性等を担保するためには、電子署名を付し電子証明書を添付するのが望ましいです。


■給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/denshikofu-qa/question.htm

インボイス登録申請の延長

インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けるには、原則として同年3月31日までの申請が必要でした。
しかし令和5年度改正により、令和5年9月30日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出すれば登録を受けることが可能です。
これまでは、4月以降に申請する場合、インボイス制度が開始する令和5年 10 月1日に登録を受けたものとみなす宥恕規定の適用を受けるためには、申請書に「期限までの申請が困難な事情」の記載が必要でしたが、この「困難な事情」の記載は不要となりました。

 


インボイス制度が開始する10月1日までに登録の通知が来なかったら?


制度開始日である令和5年10月1日までに登録通知が届かなかった場合であっても、同日から登録を受けたものとみなされます。


通知を受けるまでは以下のような対応が考えられます。
・暫定的な請求書を交付し、通知後にインボイスとしての不足事項を書面で交付し補完する
・事前にインボイスの交付が遅れる旨を取引先に伝え、通知後にインボイスを交付する
・取引先に対して通知を受けるまでは暫定的な請求書を交付し、通知後に改めてインボイスを交付しなおす


登録申請書の処理期間は、e-Tax提出なら約3週間、書面提出なら約2か月かかるため(4月10日現在)、登録を決めた場合は早めに申請するのがおすすめです。


■適格請求書発行事業者の登録件数及び登録申請書の処理期間について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/kensu_kikan.pdf

 


期限の特例

ちなみに、最終日となる令和5年9月30日は土曜日です。
申告書等の提出等に係る期限が土日等に当たるときは、その翌日を期限とみなす「期限の特例」が設けられています。
しかし、インボイス登録に係る経過措置に関しては上記の「期限の特例」の対象にはなりません。
「期限の特例」の対象となるには、条文上に期限の定めがあることが前提です。
インボイスの登録申請に関する条文には「(制度開始日にインボイス発行事業者の)登録を受けようとする事業者は、5年施行日の 6月前の日=3月31日まで に、登録申請書を 提出しなければならない 」とありますので、3月31日が土日であれば「期限の特例」の対象でしたが、経過措置にはこのような期限の定めがないため、最終日は翌月曜日にならないので注意が必要です。

 


インボイス制度開始後の10月以降に登録はできるのか?

免税事業者が令和5年10月1日後から令和11年9月30日までの間に登録を受ける場合には、適格請求書発行事業者の登録申請書に、提出日から 15 日以後の日を「登録希望日」として記載すれば、その登録希望日から登録を受けることができます。