2025年6月に成立した年金制度改革法により、2026年4月から在職老齢年金のルールが変わります。
会社などで働きながら年金を受け取る人について、年金が減らされ始める基準額が「月51万円」から「月65万円」に引き上げられます。
在職老齢年金制度とは
65歳以上になると、原則として次の2つの年金を受け取れるようになります。
・老齢基礎年金(国民年金)
・老齢厚生年金(厚生年金)
このうち、働いて給料をもらっている人は、「給料など+老齢厚生年金」の合計額が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部が減額される仕組みがあります。
これを在職老齢年金制度といいます。
※減額の対象になるのは老齢厚生年金だけで、老齢基礎年金は減額されません。
■2026年3月までの基準
「給料など+老齢厚生年金」の合計額が月51万円を超えると、超えた分の半分相当の老齢厚生年金が減額(支給停止)されます。
■2026年4月からの新しい基準
2026年4月からは、この基準が月65万円まで引き上げられます。
つまり、これまでより多く働いても、年金が減らされにくくなるということです。
給料:月46万円
老齢厚生年金:月10万円
合計:月56万円
■2026年3月まで:基準額51万円
56万円-51万円=5万円のオーバー
→オーバーした5万円の半額2万5000円分の老齢厚生年金が減額
■2026年4月から:基準額65万円
合計56万で基準額はオーバーしない
→老齢厚生年金の減額は行われず、満額の10万円を受け取れる
・税制も見直される予定
この制度変更に合わせて、2027年分の所得税から次の見直しが予定されています。
給与所得控除と公的年金等控除を合わせた金額の上限を280万円とする案です。
これは、給与と年金の両方を受け取る人の税負担を調整するための改正とされています。
在職老齢年金制度はなぜ作られたのか
在職老齢年金が作られた頃(高度成長期)の社会背景は以下のようなものでした。
・定年:55~60歳
・平均寿命:今より短い
・定年後は基本的に働かない
このように、1965年の導入時の社会背景として、年金は定年後に働けなくなった人の生活費、という考えでした。
よって、高い給与を得ている高齢者に満額の年金を支給することは、保険料を負担している現役世代とのバランス等から不公平であるとされ、所得に応じた調整が導入されました。
これが在職老齢年金制度です。
当時は、「働きながら年金をもらう人」は少数派だったため、そもそもこの制度は少数派の調整のための仕組みだったと言えます。
制度見直しの背景
ところが、近年では少子高齢化による人手不足のため、導入時とは逆に、定年後の高齢者の就労が促進されています。
しかし現行の制度のままでは、働いて収入が増えたら年金が減らされてしまうので、働ける人が働かない問題が発生しました。
それを解消し、高齢者にもっと働いてもらうため、51万円から65万円に引き上げる制度の見直しが行われたのです。
これにより、より高い給与を得ながらでも年金を満額受け取りやすくなります。


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