立退料を受け取った場合の所得税の取扱いは?

居住または事業に供している建物等が賃借物件である場合、賃貸人の都合により立退かなければならなくなった時に、立退きに際して賃貸人から立退料を受け取り、退去することがあります。この立退料を受領した場合、受け取った側の税務上の処理はどのような取扱いになるのでしょうか?

この場合、受け取った立退料がどのような目的で支払われているかにより、取扱いが違います。

1.賃借人の借家権が消滅することによる補償部分
この部分は、借家権の譲渡となりますので、譲渡所得として確定申告しなければなりません。

2.引越費用に充当する部分
この部分は、実際に引越費用に充当した部分は課税されませんが、受け取った金額より実際に支払った金額の方が少なかった場合には、その差額部分については一時所得として確定申告しなければなりません。

3.事業の用に供していた場合における営業補償金部分
この部分は、その事業を営んでいた個人の収入金額の減少に対する補償や、休業などにより従業員に支払う給与等の費用を負担する部分については、事業所得として申告しなければなりません。

ここで一つ注意しなければならないのが、借家権が消滅することに対する補償部分の譲渡所得については、土地建物等の譲渡による所得ではないので、分離課税ではなく、総合課税となりますのでご注意ください。

=参考=

(借家人が受ける立退料)
所得税法基本通達33-6

(一時所得の例示)
所得税法基本通達34-1

税理士法人村上事務所
谷田 哲章