新型コロナウイルス感染症の影響による損失と繰戻し還付制度

新型コロナウイルス感染症の影響により損失が発生した際に、災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付を受けられる場合があります。

 


災害損失欠損金の繰戻し還付制度とは

災害のあった日から1年以内に終了する各事業年度または半年以内に終了する中間期間において、災害損失欠損金が発生した場合、その年度の開始の日の前1年以内(青色申告法人は前2年以内)に開始した事業年度の法人税額のうち、災害損失欠損金額に対応する部分に関して還付請求できる制度です。

 


災害損失欠損金の範囲

災害損失欠損金に該当する例

・飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・生鮮食品やパンなどの販売に際し、商品の保護に用いるショーケース、ビニール製カーテン、パーテーション等の購入費用
・貸衣装等の衛生管理に用いる衣装カバーの購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

災害損失欠損金に該当しない例

・客足が減少したことによる売上げ減少額
・休業期間中に支払う人件費
・イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

 

■国税庁FAQ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/05.htm

 


留意点

災害により棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産について生じた損失の額が対象となりますので、外出自粛の要請等があったことによる店舗の売上げの減少額などは除外されます。

また、業界団体等のガイドラインに沿った必要な支出であること、利用者の感染が確認された場合には廃棄処分するというルールがあることなど、各資産に係る被害拡大を防止するための支出であると客観的に示す必要があります。

 

形式上の貸倒れと備忘価額

新型コロナウイルス感染症の影響による取引先の倒産や取引停止等が増えることが予想され、売掛金等の回収ができるか不安な企業も多いかと思います。
取引先が一定の状況に陥ったことで売掛金等が回収できなくなった場合に、税務上、貸倒損失を計上できる基準があります。
その一つに、形式上の貸倒れがあります。

 


形式上の貸倒れとは

貸付金等を除く売掛債権が対象で、下記のいずれかの条件に当てはまれば、形式上の貸倒れと認定されます。


・継続的な取引を行っていた取引先の資産状況等の悪化で取引が停止し、1年以上経過している
・支払いを求めたにもかかわらず弁済がなく、売掛金の総額が取り立て費用に満たない

 

形式上の貸倒れの場合、「備忘価額」を設定することで、貸倒損失を計上できます。
なお、この基準は、継続的に取引を行っていた場合にしか適用されません。単発取引の場合には使えないため、注意が必要です。

 


形式上の貸倒れの状況になったときの仕訳例

取引先Aに対する売掛金が10万円で備忘価額を1円に設定した場合

貸倒損失 99,999円 / 売掛金 99,999円

 

その後「事実上の貸倒れ」になったときの仕訳は下記のようになります

 

貸倒損失 1円 / 売掛金 1円
 
 

備忘価額を設定するのはなぜ?

形式上の貸倒れは、あくまで「形式上」であり、現実的に貸倒れる確率は極めて高いわけですが、回収できる確率が0%ではないという考え方もあります。
そこで、備忘価額を設定することで、売掛金等がまだ存在していることを示しておくためといわれています。
設定された備忘価額は、その後「事実上の貸倒れ」の状況となったときに消すことができます。

 

■事実上の貸倒れとは
取引先の破産、死亡などにより、売掛金の全額が回収できないことが明らかであるとき、事実上の貸倒れが認定され、全額が貸倒損失として計上できます。

寄附金控除の証明書類

豪雨や震災などの自然災害に対し、個人の支払った義援金が特定寄附金に該当すれば、寄附金控除の対象となります。
支払額は確定申告時に控除できますが、必要書類は義援金の支払先によって異なるので確認が必要です。

 


特定寄附金とは

国や地方公共団体、特定公益増進法人・財務大臣の指定を受けた公益社団法人等の団体に対して行った寄付金をいいます。
すべての寄付が控除対象ではなく、一定の寄付金に限られています。

 

■国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm

 

 


義援金の支払先を確認

①災害対策本部等

被災した自治体に設置されることから国や地方公共団体に対する寄附金に該当します。

②団体等(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)

【注意点】
義援金を取りまとめる“受け皿”という位置付けの場合があり、最終的に義援金配分委員会()等へ送金されるのであれば,国や地方公共団体に対する寄附金①に該当します。

 

義援金配分委員会等とは
災害の被災者を支援するために寄せられた義援金を、被災者に公平・平等に配分するための基準や方法を審議・決定する組織で、被災自治体や義援金受付団体、報道機関などから構成されています。送金先が義援金配分委員会等であるかどうかは団体等の募金趣意書等で確認できますが、確認できなければ団体等に直接確認する必要があります。

 


確定申告時に必要な書類

①災害対策本部等

・受領証

②団体等(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)

【専用口座がある場合】

・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料(募金要綱、募金趣意書、団体等HPの写しなど)

 

【専用口座がない場合】

・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料(募金要綱、募金趣意書、団体等HPの写しなど)
・預り証

 


ふるさと納税を利用した義援金寄付

ふるさと納税を利用して、特定寄附金に該当する義援金の寄付を行うこともできます。
その場合、支払先は自治体となりますので、必要書類は①に該当します。
ふるさと納税ワンストップ特例申請を行わずに、確定申告する場合、発行された受領書を大切に保管してください。

 


寄附金控除の証明書類の一覧表

支払先 申告に必要な書類
災害対策本部等 受領書
団体等
(日本赤十字社、中央共同募金会、報道機関など)
専用口座あり ・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料
専用口座なし ・振込票の控え(又は郵便振替の半券)
・振込口座が義援金の受付専用口座であることを証明する資料
・預り証
ふるさと納税
ワンストップ特例申請なし
受領書

新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う在宅勤務実施のお知らせ

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、政府の緊急事態宣言が発令されたことを受け、税理士法人村上事務所では、新型コロナウイルスの感染拡大防止と、お客様ならびに従業員の安全を目的に、4/22(水)から5/29(金)までの期間、全従業員に対して原則在宅勤務とする方針を決定いたしました。なお、政府の意向により在宅勤務を延長する可能性がございます。皆様には大変ご不便、ご迷惑をおかけすることと存じますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
つきましては、当法人へのご連絡方法、ご対応について、下記にまとめております。ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

 

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【担当者へのご連絡について】

従業員は在宅にて通常勤務を継続しておりますので、担当者の携帯電話番号、メールアドレスをご存じの場合は、それらの連絡手段を優先してご利用ください。

 

【箕面本社への連絡】

072-721-0075 まで ご連絡ください。交代制で数名出勤予定です。

 

【大阪支社への連絡】

06-4256-4173 まで ご連絡ください。交代制で数名出勤予定です。

不在の場合がございます。その場合、箕面本社への転送となります。

 

【お客様とのご面談について】

お客様の安全を最優先し、お客様のご了承のもと、可能な限り、電話、メール、チャットツール等で、お打ち合せさせていただきます。ご対応にご協力とご理解をお願い申し上げます。

 

【従業員の取り組み】

・マスク着用や、積極的な手洗い、アルコール消毒を徹底いたします。

・公共交通機関の利用を可能な限り禁止とし、できるだけ人混みをさける行動を実行していきます。

・従業員の身近に感染者または濃厚接触者と認定された人がいる場合には、事務所に報告させる体制としております。

・万が一従業員が感染の疑いが高まった場合には、国・各都道府県・保健所・医療機関等の指示に従った対応を実施致します。

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税理士法人村上事務所はお客様ならびに従業員の健康に配慮して、サービス提供を継続してまいります。

何卒ご理解ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

税理士法人村上事務所

代表社員 鶴田晃宗

代表社員 岡本孝司

代表社員 檜垣寛明

相続税の障がい者控除について

 

 


近年、相続税の申告において、小規模宅地等の特例の細かい税制改正が毎年のように行われており、特例、控除等の適用要件が年々複雑化しているように思われます。今回は基本的な内容ですが、意外と注意が必要な項目を紹介させていただきます。

(1)相続税の障がい者控除

   今回の内容は相続税の障がい者控除です。相続税の障がい者控除は、被相続人(亡くなられた人)が障がい者に該当するかどうかで適用するのではなく、相続人(相続等により財産を取得した人)が障がい者に該当するかどうかで適用します。この控除は税額の軽減になりますので算出税額から税額控除を行うため、場合によっては大きな税額の減額になることがあります。

(2)内容

相続人が85歳未満で障がい者に該当するときは、相続税の額から一定の金額(  詳細(4))を差し引きます。

(3)障がい者控除が受けられる人

次のすべてに該当する人です。

①相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ被相続人が一時居住者被相続人又は非居住者相続人である場合を除きます。)

②相続や遺贈で財産を取得した時に障がい者である人

③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること

※ここで注意すべき点は

1.障がい者控除を受ける人が相続や遺贈により財産を取得していることです。財産を全く取得していなければ、障がい者控除を受けることができません。1円でも取得している場合は控除限度額に満たなくても、要件を満たす他の相続人から控除できます。

2.障がい者控除を受ける人が法定相続人であることです。法定相続人でない人が遺贈で財産を取得した場合や生命保険の受取人に指定されていて死亡保険金を受け取った場合等は適用できません。

(3)障がい者控除の額

控除額の計算方法は、下記の通りとなります。

(85歳-相続開始時の年齢)✕10万円(特別障がい者の場合は20万円)

仮に、相続開始時の年齢が40歳であれば、

(85歳-40歳)✕10万円(特別障がい者の場合は20万円)= 450万円の税額が相続税額から控除されます。

障がい者、特別障がい者どちらに該当するかについては、細かい内容なので、国税庁のホームペ-ジ等を参照してください。

また、障がい者控除額が、その障がい者本人の相続税額より大きいため控除額が引ききれないことがあります。この場合は、その引ききれない部分をその障がい者の扶養義務者の相続税額から控除します。扶養義務者とは、配偶者、直系血族(親、子等)及び兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定のもの(条件あり)となっています。 「相続税法基本通達1の2-1」より

(4)相続税申告においては、相続人が障がい者に該当すれば、障がい者控除の適用が あることを覚えていると、遺産分割を協議するときにも役立つと思われます。

また、障がい者控除については法定相続人すべての状況を確認する必要がありますので、相続人代表がまとめて申告する場合等は各相続人の状況を把握し該当する人がいないか注意する必要があります。

詳しい内容につきましては、税理士法人 村上事務所までご相談ください。

中森 徹