株式、投資信託、公社債の税務面の違い

当事務所も年明けからの法定調書、確定申告、3月申告法人の申告が終わり、少しと段落、桜の季節になり、新学期、新事業年度も始まります。

今回確定申告をさせていただいて、株式等の申告についてもう一度簡単に整理します。

 

1.確定申告でよくでくる有価証券

①株式…株式会社が発行する株券(ここでは簡便的に上場株式等に絞ります)

②投資信託…投資信託運用会社が作った受益証券、受益証券から集めた資金を株や債券に投資して運用する(ここでは公社債投信を除きます)

③公社債…国や会社が発行する債券(借入金、特定公社債に絞ります)

 

2.上記については①~②利益分配、③は利息が付きます

①株式

配当金…年1回、年2回、無配の場合有

②投資信託

分配金…毎月型~年1回、無配の場合有、特別分配金は除く(元金戻り)

③公社債

利金…年1回、年2回

 

3.上記について所得税法上は各所得に分類されます

①株式

配当所得…受け取るときに15.315%所得税(復興税含む)、5%住民税が控除されます

②投資信託

配当所得…上記①と同様

③公社債

利子所得…上記①と同様

 

4.上記は確定申告することによって、株式等の譲渡損失との相殺、控除欠格による所得控除との相殺、税率が低いことによる源泉所得税等の控除に活用できます。

 

5.上記について確定申告する際には、その申告方法が異なります。

①株式の配当金

総合課税、分離課税のどちらか選択

②投資信託の分配金

①と同様

③公社債の利金

分離課税のみ

 

6.①、②を総合課税で申告した場合、配当控除が使えます

①株式の配当金

課税所得が1000万円以下の部分については、所得税は配当所得の10% 、住民税は2.8%

課税所得が1000万円を超える部分は、所得税は配当所得の5%、住民税は

1.4%

但し外国株式は配当控除できません

②投資信託の分配金

上記①の2分の1(外貨建資産割合と非株式割合が50%以下の場合)

上記①の4分の1(外貨建資産割合と非株式割合が50%超から75%以下の場合)

但し外貨建資産割合と非株式割合がいずれか75%超の場合と不動産投資(リ-ト)は配当控除できません

 

これらを確定申告した場合国民健康保険等に影響が出る場合もあり、今年度から明確になった住民税の申告不要の選択を行うべきか否かの判断などかなり複雑になっています。

 

株式等の配当や譲渡した方、これから譲渡しようとする方、是非税理士法人村上事務所にご相談ください。

 

税理士法人村上事務所 第一課 奥原伸貴

 

生命保険契約等に関わる支払調書の提出範囲の変更

新年明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお願い致します。

年始の1月は、会計事務所では、法定調書の提出業務で忙しくなる時期でございます。

この法定調書に関連しまして、

保険会社から税務署へ提出される支払調書について、平成30年1月1日以後に支払の確定する生命保険金等より、その提出範囲が拡大されます。

従来は…

100万円を超える保険金(一時金や解約返戻金)が支払われた場合

或いは、年間20万円を超える年金タイプの保険金が支払われた場合に、

税務署へ支払調書が提出されていました。

そして、平成30年1月1日以後に支払の確定する生命保険金等より、生命保険契約の契約者変更(名義変更)があった場合も支払調書の提出をしなければならないこととされました。

この提出範囲の拡大については、2つのケースに分けられます。(平成27年度税制改正より)

① 保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこととする。

→ 保険金が支払われないが相続税の課税対象になる生命保険契約に関する権利という相続財産が、税務署に全て把握されることになるといえます。

② 生命保険等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。

→ 契約者変更があった後の保険金支払時に、契約者変更前と変更後の保険料負担額の内訳が明確になるといえます。

また、法人が契約した逓増定期保険の個人への名義変更についても、法人と個人の各々の保険料負担額が明確になります。この事については、平成27年度税制改正の解説でも言及されています。

平成30年1月1日以降に、契約者変更を行おうとする場合、課税関係がどのようになるのかを十分に検討し確認する必要が生じます。

保険商品が多様化し保険税務が複雑化する中で、

税理士法人村上事務所は、確かな知識と豊富な経験により、皆様の「未来の安心」をサポートしていきます。

税理士法人村上事務所  第三課  岡村 陽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続税における土地の評価で財産評価基本通達によらず、鑑定評価が認められ評価額を下げることが出来たケース

皆様、いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

さて早速本題ですが・・・

○相続税の計算において、土地の評価は通常の場合「財産評価基本通達」というものに書かれている内容に基づいて行います。

○しかし、「評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情がある」ときには、評価通達によらない方法(鑑定評価など)で評価することが可能となっています。

○ではこの「評価通達によっては適正な時価を算定することが出来ない特別の事情」とは、はたしてどんな「事情」が考えられるでしょうか?

 

◎一例として「2017.06.15大阪地裁判決、平成24年(行ウ)第259号」があります。要約すると、

・道路に接していない「無道路地」である雑種地が本件土地。

(無道路地の評価では、通路開設費用相当額を控除することが出来る

-無道路地減額補正)

・本件土地への通路開設費用相当額が912万円であり、

・本件土地を評価通達で評価した価額549万円(無道路地減額補正前)を上回っている

・無道路地減額補正率は最大40%だが、通路開設費用相当額はこれを超えている。(549万円×40%=約220万円しか無道路地の減額が出来ない)

・よって本件土地は、「評価通達では接道義務を満たしていないことを十分に反映することができず、これは評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情ということができる。

・したがって本件土地の評価は、不動産鑑定評価による価格(本件の場合は220万円の鑑定評価を納税者側が提出していた)と認めるのが相当である。

 

・・・いかがでしょうか?

本件における通路開設費用相当額や鑑定評価額の根拠はハッキリしませんが、この裁判例では、

・無道路地に通路を開設する費用を適切に見積もり、

・それが土地の評価をも上回る状態であり、

・相続人が提出した鑑定評価額が、裁判所に妥当と認められた、

・・・という状況がそろったため鑑定評価額が認められたものと考えられます。

 

※今回この裁判例を紹介したのは、「土地の評価は評価通達に沿ってだけ行えば良いものでは無い!

・・・ことを書いておきたかったからです。

本ブログをご覧になられた方の中にも、相続(これから相続を迎える方も含めて)において、評価通達に書いてある通りの評価方法だと実勢価格よりもはるかに高い評価となってしまう不動産をお持ちの方がおられると思います。

当事務所では、豊富な経験提携士業との連携により不動産の「適正な時価」を探るべく日々業務を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

(税理士法人村上事務所 片山洋)

交際費に該当する飲食費は?

2017年も残り2週間となりました。会社にとっては忘年会シーズンですね!

忘年会といえば飲食、飲食といえば交際費…ということで今回は交際費、

特に飲食に関するものについてお話したいと思います。

 

法人にとって取引先との良好な関係を築くために必要な交際費。

ところが必要な支出であるにもかかわらず、法人税法では一定額以上の交際費は損金に算入されないこととされています。

法人税では、

「交際費とは、交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先、その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」

 

「接待飲食費とは交際費等のうち、飲食その他これらに類する行為のために支出する費用(専ら法人の役員、若しくは従業員またはこれらの親族に対するものを除く。)」

 

と定義されています。しかし実際のケースでは飲食費ひとつとっても、これは会議費?

交際費?どう区分したらいいのかわからない!ということがあるのではないでしょうか?

 

 

交際費について条文では、参加者一人当たりの支出額が5,000円以下の飲食費は

交際費から除かれ、損金の額に算入することとされています。

この5,000円判定ですが、例えば1次会・2次会…とあった場合、

その会ごとに金額/参加人数で計算することとなります。

 

ちなみに飲食費に付随して支出されるタクシー代は、接待する側として相手方に支払うものは「交際費」、接待される側で、その会場や店に行く際に支払うものは「旅費交通費」となるので注意が必要です。

 

基本的には5,000円以下の飲食費=損金ですが、例外もあります。

自社の特定の役員や従業員のみが参加する飲食のための支出は「社内飲食費」として

5,000円以下でも交際費に該当することとなります。

 

本支店間の役員・従業員のみの飲食も社内飲食費となります。

(ただし、親会社・子会社間では社内飲食費に該当せず、5,000円判定が必要となります。)

 

しかし忘年会など、自社の従業員おおむね全員が参加するような場合であれば

福利厚生費」として損金の額に算入されます。

 

会議の際に支出する飲食費については、会議に通常必要と認められる範囲内の金額であれば「会議費」、過度に高額な金額であれば「交際費」に該当することとなります。

 

 

交際費は範囲が広く、プライベートな費用などと混同しやすいため、税務調査で確認されやすい項目です。

そのため事業に関連する費用であることを証明できるように、どのような費用であるかを日頃から記録し、 ①いつ ②誰と ③何人で ④どこで といった記載事項がきちんと記入された領収書を保管しておくことが大切です。

 

 

税金に関する疑問・お困りごとがありましたら

箕面市の税理士法人村上事務所にお気軽にお問合せください。

豊富な知識を持ったスタッフがお待ちしております!

平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて

平成29年度の税制改正において、平成30年以降の配偶者控除及び配偶者特別控徐 の取扱いが以下の通りに変更されました。

①配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得金額が1,000万 円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされました(改正前:給与所得者の合計所得金額の制限無)。

②配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました(改正前:38万円超76万円未満)。

①については、これまでは配偶者控除の適用について納税者本人の所得制限はなかったのですが、改正により納税者本人の合計所得金額が900万円超(所得が給与のみの場合で1,120万円超)から増額するに従い、配偶者控除の控除額が逓減していき、合計所得金額が1,000万円超(所得が給与のみの場合で1,220万円超)で、配偶者控除の適用ができなくなることとなりました。

②については、これまで配偶者特別控除の適用は納税者本人の合計所得金額が1,000万円未満の場合で、配偶者の合計所得金額が38万円超(所得が給与のみの場合で103万円超)から76万円未満(所得が給与のみの場合で141万円未満)の間でのみ限られていましたが、改正により配偶者の合計所得金額が38万円超85万円未満(所得が給与のみの場合で150万円未満)であれば、改正後の配偶者控除の控除額と同額が控除されることとなり、合計所得金額が123万円(所得が給与のみの場合で201万円)まで配偶者特別控除の適用ができることとなりました。

上記①、②の改正により、給与所得者(給与等を受領する本人)が給与等の支払者(給与等を支払う会社等)に提出する「平成30年分給与等の扶養等控除等申告書」の記載内容が変更されるとともに、源泉徴収義務者である給与等の支払者が源泉徴収税額を計算する際の扶養親族等の数の計算方法が変更されることとなります。

ここで注意したいのは、これまで配偶者の合計所得金額が38万円(所得が給与のみの場合で103万円)を越えていたため給与等の支払者に対して配偶者の個人番号を提出されていなかった給与所得者が、配偶者特別控除の適用が可能となる配偶者本人の合計所得金額の枠の拡充により、配偶者が源泉控除対象配偶者*に該当すると見込まれる場合には、給与等の支払者に配偶者の個人番号を提出する必要があります。

今回の改正で個人番号を提出する必要が生じることとなる配偶者の個人番号は給与等の支払者においてまだ入手できていないものと思われるため、給与所得者は「平成30年分給与等の扶養等控除等申告書」の提出時に配偶者の個人番号を給与等の支払者に提出することを忘れないこと、給与等の支払者は給与所得者に事前にアナウンスを行い、必要な個人番号の早期入手を完了させることで円滑な給与計算を行っていただければ、と思います。

*「源泉控除対象配偶者」の用語の意味

給与所得者(合計所得金額の見積額が900万円以下の人に限る。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く。)で、合計所得金額の見積額が85万円以下の人をいいます。

「源泉控除対象配偶者」という用語の出現によりこれまで使用されていた「控除対象配偶者」の用語の意味が改正後変更されます。

「控除対象配偶者」の用語の意味

給与所得者(合計所得金額の見積額が1,000万円以下の人に限る。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く。)で、合計所得金額の見積額が38万円以下の人をいいます。

給与は我々が生活をする上でとても重要なものであるため、今回の改正により給与計算等の間違いを起こさないためにも、改正内容について不安がある方は是非税理士法人村上事務所までご相談下さい。

参考資料(国税庁のホームページより)

給与所得者向け平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて

源泉徴収義務者向け平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて(毎月(日)の源泉徴収のしかた)

平成30年分給与所得者の扶養控除等申告書の記載例

 

税理士法人村上事務所

仁田 亮