最近の食料品や光熱費などの急激な物価上昇に対して、従業員の生活を支援するために、ランチ代を補助する企業が増加しているようです。
福利厚生として支給する昼食が、一定の要件を満たす「食事の現物支給」であれば、非課税となります。
現物支給とは
従業員への給与は金銭支給が原則ですが、他にも住居や食事など、次に掲げるような物または権利、その他の経済的利益として支給されることがあります。
①物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益
②土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
③福利厚生施設の利用など②以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益
④個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益
【代表的な現物支給の例】
・通勤定期券
・記念品
・食事、食事代の補助
・家賃補助や社宅
・ユニフォーム
・商品券・カタログギフト
・人間ドックの会社負担
・社員旅行費用
・会社の商品・製品・値引き販売
・慶弔費用(見舞金や香典、ご祝儀)
など、様々なものが対象として考えられます。
現物支給には、
①業務遂行のため必要で支給されるもの
②換金性に欠けるもの
③その評価が困難なもの
④受給者側に物品などの選択肢が無いもの など
金銭による給与とは異なる性質があり、また、政策上特別の配慮を要するものなどもあるため、特定の現物給与は、課税上、金銭の給与とは異なった特別の取り扱いがあります。
■No.2508 給与所得となるもの
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2508.htm
現物支給の昼食が非課税になる要件
従業員に対して食事を支給する際に、以下の2点を満たした場合、非課税となります。
・従業員が食事代の半分以上を負担している
・会社の補助額が1か月あたり税抜3,500円以下である
気を付ける点として、この非課税が適用されるのは、弁当等を現物支給する場合に限られています。
従業員が飲食店で食事をし、実費精算した場合には金銭支給となるため、現物支給とはならず、課税対象となります。
※ただし、会社が特定の店と契約しており、従業員の食事代を店に支払う場合には、現物支給として認められ、非課税として良いとされています。
■使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/44.htm
その他の非課税になる現物支給の例
食事以外にも、非課税となる現物支給は下記のような例があります。
・1カ月150,000円までの通勤用定期乗車券(合理的な経路及び方法で住居と就業場所を往復するために使用する場合に限る)
・処分見込価額による評価額が10,000円以下の創業記念品や永年勤続表彰記念品
・会社の業務を行うために直接必要な研修旅行
・旅行期間が4泊5日(海外旅行の場合は現地滞在日数)以内で、かつ、社員の50%以上が参加している社員旅 など
なお、残業または宿日直を行う際に支給する食事は、無料(従業員の負担がゼロ)で支給しても、課税しなくても良いことになっています。