持続化給付金の自主返還にかかわる税金

昨今、持続化給付金の不正受給問題のニュースが多く流れ、世間を騒がせました。
給付要件を満たさないにも関わらず誤って申請し、自主返還された返納額は、7/21時点で約170億円以上になっているようです。
不正受給は、犯罪とみなされ、罰則として氏名等の公表、加算金や延滞金の支払義務が生じますが、自主返還した場合には、これらの罰則は課せられないとのことです。

 


自主返還に伴う税金について

コロナ禍に減収した事業者支援のための持続化給付金は、課税対象です。
持続化給付金は収入金額として、、該当する所得区分(事業所得・一時所得・雑所得)で、確定申告します。
そして、申請誤りにより、持続化給付金を自主返還した場合、「事業所得」「一時所得・雑所得」それぞれの区分によって税金の取り扱いが異なります。

 

それぞれの取り扱いについて、令和3年分(受給年)と令和4年分(返還年)で考えてみます。

 

■一時所得、雑所得として申告した場合

例:

令和3年に受給した給付金を100万円全額、自主返還した場合、令和3年分の所得金額(100万円)はなかったものとみなし、これに対応する納税額分は「更正の請求」という手続きにより、還付を受けることができます。

 

 

■事業所得として申告した場合

例:
本来80万円しか受給できないところ、申請誤りにより100万円を受給し、差額の20万円を自主返還した場合、返還した金額は令和4年分の必要経費にすることができます。
なお、令和3年分と令和4年分の収支で帳尻が合うことから、「更正の請求」を行う必要はないとのことです。

【更正の請求】

更正の請求とは、税金を間違って多く納めてしまった場合に、税務署へ還付金の請求を行う手続きのことです。税務署が内容を検討し、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、税金が還付されます。 更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内となっています。