空き家特例と取壊し費用

「空き家特例(空き家に係る譲渡所得の特別控除)」は、一定の条件を満たせば、空き家やその土地を売ったときの利益から最大3,000万円まで税金の計算上差し引ける制度です。
この特例を使うための条件のひとつに、売買金額(譲渡の対価の額)が1億円以下であることがあります。


ここでいう「売買金額」は、単に契約書に書かれている金額だけではありません。
たとえば、空き家を売るときに「家の取り壊し費用を買主が負担する」という形にした場合でも、その取り壊し費用は、本来は売主が負担するものと考えられます。そのため、税金の計算では、その取り壊し費用も売買金額に含めて考えることになります。

 


空き家特例とその目的

空き家特例とは、相続によって取得した、一定の要件を満たす空き家を売却した際、利益から最大3,000万円を控除できる制度です。
特例を受けるためには、いくつかの厳しい要件がありますが、適用されれば大きな節税効果を得られます。


また、相続によって発生した空き家の売却を促すことで、全国で増加する空き家問題の解消と、それに伴う地域環境の保全を図ることも期待されています。


■空き家問題とは?
・経済成長によって建てられた家が、少子高齢化のために住む人がいなくなり次々と空き家となっている
・放置された空き家は、火災や倒壊の危険や、景観の悪化、公衆衛生上の問題などを引き起こし、周辺地域の不動産価値の低下を招いている


こうした問題の解決策のひとつとして、空き家特例が創設されました。

 


売買金額には買主による取り壊し費用も含まれるようになった

空き家特例は、相続などで取得した、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅やその土地を、令和9年12月31日までに売却した場合などに使えます。
土地だけを売る場合は、原則として売主が家を取り壊してから売る必要がありましたが、令和6年1月1日以降は制度が変わり、買主が家を取り壊すケースでも特例の対象になりました。


ただし、この制度改正があっても、「売買金額に何を含めるか」という考え方自体は変わっていません。
つまり、買主が負担した取り壊し費用であっても、売買金額に含めて1億円以下かどうかを判断する必要があります。


なお、空き家特例を使って確定申告をする場合は、
・売買金額(取り壊し費用を含めて1億円以下であること)
がわかる資料として、売買契約書のコピーなどを申告書に添付して提出します。