令和6年度改正では、いくつかの中小企業向けの改正が行われていますが、法人税法上の「中小法人等」と租税特別措置法上の「中小企業者」の範囲はそれぞれ異なります。
国内の企業の殆どが中小企業で、その割合は99.7%です。(2021年 6月1日時点)
中小法人かつ中小企業者となるには、資本金の額等が1億円以下であることが最低条件ですが、発行済株式が大規模法人にどのくらい保有されているかで、中小企業者等になれないケースもあります。
中小法人等とは
法人税法において、「中小法人等」とするには以下の要件を満たす必要があります。
・資本金の額等が1億円以下の普通法人
・資本金が5億円以上の法人(大法人)による完全支配関係がない
■中小法人に適用される主な特例等
・法人税率の軽減
・交際費等の損金不算入制度の特例
・貸倒引当金を一定の限度額の範囲内で損金算入可
・特定同族会社に対して課される留保金課税の適用除外
など
中小企業者とは
租税特別措置法において、「中小企業者等」とするには以下の要件を満たす必要があります。
・資本金の額等が1億円以下
・発行済株式の2分の1以上を資本金が1億円超の大規模法人に保有されていない
・発行済株式の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されていない
■中小企業者に適用される主な特例等
・少額減価償却資産に係る損金算入の特例
・中小企業者等の試験研究費に係る法人税額の特別控除
・中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除
・給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除
など
「資本金等の額」と「資本金の額等」
それぞれの判定は、「資本金等の額」ではなく「資本金の額等」が1億円以下かどうかで決まります。
少々ややこしいですが、下記のようにご理解ください。
■「資本金の額等」とは、資本金の額又は出資金の額のことです。
■「資本金等の額」とは、法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額のことで、先の「資本金の額等」に一定の項目を加減算した金額を指します。