新型コロナウイルスの影響で、固定資産を稼働停止した際の減価償却

工場の機械や飲食店舗内の厨房設備など、事業用資産であっても、稼働休止しているものは、税務上減価償却資産には該当しないため、原則として、償却費を損金として計上することができません。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、製造ラインを停止するなどして機械の稼働を休止する場合や店舗等の閉鎖があった場合、維持補修が行われ、いつでも稼動できる状態であれば減価償却資産に該当し、償却費を損金計上することができます。

 


いつでも稼働できるような状態に保つことがポイント

休止期間中に必要な維持補修を行っており、いつでも稼動し得る状態にあるものは、例外的に減価償却資産に該当するとされています。

この取扱いは、稼働休止期間がごく短期間である資産について、強いて償却を中断させるまでもないという配慮に基づくものです。

コロナ禍において、平時のように事業として使用することができない機械等について、メンテナンス・補修がされており、生産が開始されたときにいつでも稼働できるような状態に保たれていれば、通常どおり、償却費を損金計上することができます。

 


資産に対する「必要な維持補修」とは

この取扱いの「必要な維持補修」とは、要件ではなく、事業供用に必要な判断要素という意味合いで示されています。
例えば、事業用資産のなかには、電源を入れればすぐに使える照明器具やパソコンなどのように、維持補修が不要なものありますが、このような資産は 維持補修をしなくても直ちに事業供用できる状態にあると言えることから、償却費の損金算入が認められます。
 
また、飲食店等のような店舗における事業用資産の場合、厨房設備が正常に動くようこまめに通電させる、業務用エアコンに不具合がないよう定期的に試運転する、といった行為が「必要な維持補修」に当たると言えるようです。