相続税における土地の評価で財産評価基本通達によらず、鑑定評価が認められ評価額を下げることが出来たケース

皆様、いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

さて早速本題ですが・・・

○相続税の計算において、土地の評価は通常の場合「財産評価基本通達」というものに書かれている内容に基づいて行います。

○しかし、「評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情がある」ときには、評価通達によらない方法(鑑定評価など)で評価することが可能となっています。

○ではこの「評価通達によっては適正な時価を算定することが出来ない特別の事情」とは、はたしてどんな「事情」が考えられるでしょうか?

 

◎一例として「2017.06.15大阪地裁判決、平成24年(行ウ)第259号」があります。要約すると、

・道路に接していない「無道路地」である雑種地が本件土地。

(無道路地の評価では、通路開設費用相当額を控除することが出来る

-無道路地減額補正)

・本件土地への通路開設費用相当額が912万円であり、

・本件土地を評価通達で評価した価額549万円(無道路地減額補正前)を上回っている

・無道路地減額補正率は最大40%だが、通路開設費用相当額はこれを超えている。(549万円×40%=約220万円しか無道路地の減額が出来ない)

・よって本件土地は、「評価通達では接道義務を満たしていないことを十分に反映することができず、これは評価通達によっては適正な時価を算定することができない特別の事情ということができる。

・したがって本件土地の評価は、不動産鑑定評価による価格(本件の場合は220万円の鑑定評価を納税者側が提出していた)と認めるのが相当である。

 

・・・いかがでしょうか?

本件における通路開設費用相当額や鑑定評価額の根拠はハッキリしませんが、この裁判例では、

・無道路地に通路を開設する費用を適切に見積もり、

・それが土地の評価をも上回る状態であり、

・相続人が提出した鑑定評価額が、裁判所に妥当と認められた、

・・・という状況がそろったため鑑定評価額が認められたものと考えられます。

 

※今回この裁判例を紹介したのは、「土地の評価は評価通達に沿ってだけ行えば良いものでは無い!

・・・ことを書いておきたかったからです。

本ブログをご覧になられた方の中にも、相続(これから相続を迎える方も含めて)において、評価通達に書いてある通りの評価方法だと実勢価格よりもはるかに高い評価となってしまう不動産をお持ちの方がおられると思います。

当事務所では、豊富な経験提携士業との連携により不動産の「適正な時価」を探るべく日々業務を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

(税理士法人村上事務所 片山洋)