生前贈与加算対象外の相続開始前3年以内の贈与

生前贈与加算とは相続または遺贈により財産を取得した者のうち、その相続の開始の日から遡って3年目の応当日からその相続開始の日までの3年以内にその相続に係る被相続人から財産を贈与により取得していた場合は、その贈与により取得した財産を当該被相続人の相続税の課税価格に加算して相続税を算出する規定です。つまり生前に贈与を受けた財産であっても相続開始前3年以内であれば、贈与税申告の有無に係わらず、相続により取得したものとして相続税の課税対象となるということです。そして当該贈与の贈与税の納税をしていた場合には相続税から差引かれることにより納税額が算出されます。

ところが、この生前贈与加算の対象外となる贈与の特例があるのでご紹介しましょう!

≪生前贈与加算の対象外となる贈与の特例≫

  • 贈与税の配偶者控除
     贈与の日時点で婚姻期間が20年以上である配偶者から、居住用財産またはそれを取得するための金銭の贈与を受けた場合に贈与税の課税価格から2000万円が控除されるという特例です。贈与税の課税価格から控除された配偶者控除額は、2000万円を限度として加算の対象とはなりません。
  • 住宅取得等資金の贈与
     平成27年1月1日から平成31年6月30日までの期間に直系尊属から自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築、取得又は増改築等の対価の支払いに充てるための金銭の贈与を受けた場合において、一定の要件を満たせば、一定額までが非課税となる特例です。贈与税の課税価格から控除された非課税額は、加算の対象とはなりません。
  • 教育資金の贈与
     平成25年4月1日から平成31年3月31日までの期間に、金融機関等との一定の契約に基づき、30歳未満の者が教育資金に充てるために直系尊属※から信託受益権を付与された場合や、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合、書面による贈与により取得した金銭等で有価証券を購入した場合には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1500万円(塾など学校等以外の者に、教育に関する役務の提供として直接支払われる金銭等で一定のものについては500万円)までは、金融機関等を経由し教育資金非課税申告書の提出をする等の要件を満たすことにより贈与税が原則として非課税となる特例です。金融機関等に教育資金贈与として預け入れた金銭等のうち1500万円までは、原則として加算の対象とはなりません。

※尊属とは,自分よりも前の世代に属する血族のことをいいます。具体的には、父母,おじおば,祖父母,曾祖父母などが尊属に当たります。

  • 結婚子育て資金の贈与
     平成27年4月1日から平成31年3月31日までの期間に、金融機関等との一定の契約に基づき、20歳以上50歳未満の者が結婚や子育ての資金に充てるために直系尊属から信託受益権を付与された場合や、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合、書面による贈与により取得した金銭で有価証券を購入した場合には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1000万円までは金融機関等を経由し結婚子育て資金非課税申告書の提出をする等の要件を満たすことにより贈与税が原則として非課税となる特例です。金融機関等に結婚子育て資金贈与として預け入れた金銭等のうち1000万円まで(結婚資金は300万円まで)は原則として加算の対象とはなりません。ただし、贈与者が死亡した時に贈与した金銭等を使いきらず、残高が残っていた場合は相続税の課税財産となります。

以上、生前贈与加算の対象外についてご理解いただけましたでしょうか?

各特例には色々な適用に関する要件等が伴いますが、将来の相続税の節税対策としてご興味をお持ちの方は、箕面市の税理士法人村上事務所がお手伝いさせていただきますのでご検討ください。

税理士法人 村上事務所
谷田 哲章