新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人が減少したこと等により、副業として民泊を行う人に損失が出た場合、その損失は雑所得内であれば内部通算ができます。
民泊で得る所得は原則「雑所得」
自分が住んでいる住宅を利用し、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(民泊)を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。
民泊事業は単なる部屋の貸付ではなく寝具等の貸付やクリーニング、室内清掃や観光案内などのサービス提供も含まれているため、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。
■国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0018005-115/0018005-115.pdf
雑所得とは
雑所得とは、以下の9つの所得に当てはまらないものをいいます。
利子所得 | 預貯金や公社債の利子 |
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配当所得 | 株式配当金、投資信託の収益分配金 |
不動産所得 | マンションやアパートの家賃収入 |
事業所得 | 農業や漁業、製造業、小売業、サービス業などの事業などから生じた所得 |
給与所得 | 会社員やアルバイトが勤め先から受け取る給与やボーナス、賃金 |
退職所得 | 退職によって勤務先から受け取る退職金 |
山林所得 | 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得 |
譲渡所得 | 土地、建物、株式、ゴルフ会員権などを譲渡することによって生ずる所得 |
一時所得 | 懸賞金、競馬などの払戻金、拾ったお金の謝礼金などの臨時収入による所得 |
具体的な雑所得の例として
●公的年金等
●非営業用貸金の利子
●副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得)
などが該当します。
【民泊はシェアリングエコノミー】 |
また、雑所得の特徴として
●青色申告特別控除などの各種特典が無いこと
●利益・黒字の場合には税金が課される
●損失・赤字の場合は他の所得と通算できず単に切り捨てられる
などがあります。
雑所得内なら内部通算が可能
雑所得は他の所得区分との損益通算はできませんが、雑所得内での内部通算は可能です。
例えば、原稿執筆による副業収入(=雑所得)があるサラリーマンなら、同様に副業として行う民泊で損失が出た場合、相殺して所得を減らすことができます。
なお、不動産賃貸業を営む人が、契約期間の満了等により賃貸契約が終了した不動産を利用して一時的に民泊を行った場合や、民泊のみの所得で生計を立てているなど、その事業が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合に係る所得は、それぞれ不動産所得、事業所得に当たるため、他の所得との損益通算の対象となります。