簡易インボイスと旅館業

全国旅行支援の実施や、新型コロナウイルス感染症に関する水際措置の見直しによる入国者総数の上限の撤廃などにより、全国各地に活気が戻りつつあります。
10月1日に始まるインボイス制度においては、旅行業を行う旅行会社等に加え、旅館業を行うホテル等も、簡易インボイスを発行できるとのことです。

 


簡易インボイスとは

簡易インボイスは、適格請求書発行事業者が一定の事業を行う場合に発行でき、インボイスと比べ、下記の記載内容を省略することができます。

・「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」の記載

・「税率ごとに区分した消費税額等」「適用税率」のいずれかの記載 ※両方記載も可能

 


簡易インボイスを発行できる事業

対象となる事業について、以下のように定められており、旅行業はありますが、旅館業の定めはありません。

①小売業
②飲食店業
③写真業
④旅行業
⑤タクシー業
⑥駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
⑦その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

 

■消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
(適格簡易請求書の交付ができる事業)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=43

 

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、ホテル等の営業者は、宿泊者の氏名や住所等を宿泊者名簿に記載し備えておく必要があります。
宿泊者名簿等のために宿泊者の氏名等を把握する必要があることから、簡易インボイスの対象となる「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」に該当しないのではないかとの見方もありました。

 

■厚生労働省 旅館業法概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html

 

しかし、「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」には、事業の性質上、氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行っている事業も含まれるため、氏名等の確認が必要な旅館業であっても、簡易インボイスの交付ができるとのことです。